今年のラインナップから聴きどころをチェック!

 ジャズを基軸に、ソウル、ファンク、R&Bといった周辺ジャンルを一気に楽しめる。そんな理想的な音楽フェスのひとつ、Blue Note JAZZ FESTIVALが今年も開催される。ニューヨークで始まったこのフェスは、2015年から横浜赤レンガ倉庫を舞台に日本でもスタート。昨年からは新たに有明アリーナへと会場を移し、充実したラインナップで大いに盛り上がった。そして今年も間もなく、2日間にわたって盛大に開催される。ここでは今回の見どころをざっと紹介しておこう。

ノラ・ジョーンズ

 まずは何といってもヘッドライナーのノラ・ジョーンズだろう。2002年にアルバム『ノラ・ジョーンズ(原題:Come Away With Me)』でデビューし、メガヒットとなったのはご存じの通り。ブルーノートレーベル最大のヒット作でもあるだけあって、今回の登場は真打と言って間違いない。しかも、昨年発表した最新作『ヴィジョンズ』がヴィンテージソウルやサイケデリックロックの薫りを漂わせた傑作で、同作でグラミー賞も受賞したばかり。すでにワールドツアーは始まっており、来日公演は単独でも行われるが、フェスでしか聴けないナンバーも登場するのではないかと期待が高まる。

ニーヨ

 もうひとりのヘッドライナーがニーヨというのも、このフェスのスケールの大きさがうかがえる。ニーヨは2005年にデビューして今年で20周年。“ステイ”や“ソー・シック”といった全米No. 1ヒットの他、ソングライターとして多数の楽曲提供でも知られており、2000年代以降のR&Bを代表する正統派ヴォーカリストと言っていいだろう。パフォーマンスにも定評があり、何度もアリーナクラスでの来日公演を行っているが、ジャズフェスに登場というのはとても新鮮な驚きがある。ノラ・ジョーンズと対をなすヘッドライナーとしては納得の抜擢だ。

テイク6
挾間美帆

 それ以外のラインナップも、ヘッドライナー級が並んでいる。まず注目したいのが、テイク6 with 挾間美帆ジャズオーケストラだ。1988年にデビューしたテイク6は、クロード・マックナイトを中心とした6人組コーラスグループで、ジャズやゴスペル色の強いアカペラを聴かせることで人気を得た。いわばアメリカ音楽のど真ん中を進む彼らが、ジャズのラージアンサンブルの最先端を進む挾間美帆と彼女が率いるジャズオーケストラとの共演という斬新な企画で、どのような化学反応を起こすのかが非常に楽しみだ。

ドン・ウォズ&パン・デトロイト・アンサンブル
©Kory Thiebault

 こういったコラボレーションでいうと、ドン・ウォズ&パン・デトロイト・アンサンブルも興味深い。ドン・ウォズは言うまでもなく、ブルーノートレーベルのプレジデントであるが、80年代にヒットを飛ばしたウォズ(ノット・ウォズ)での活動を始め、ローリング・ストーンズのプロデューサーを務めるなど音楽シーンに大きな影響を及ぼしてきた。パン・デトロイト・アンサンブルは彼の音楽家としての最新プロジェクト。当然、精鋭のミュージシャンが多数参加するので、どのようなステージを観ることができるのか非常に興味深い。

三浦大知

 三浦大知がジャズフェスに登場するのも嬉しい驚きだ。1997年にFolderのメンバーとし、天才少年と言われてからおよそ30年。今ではジャパニーズR&Bを牽引する存在であり、歌うだけでなくダンスを交えた強烈なパフォーマンスはNHK紅白歌合戦で観たことがある方も多いだろう。シーンのトップに立った今も、常に実験精神を忘れない彼の存在が、ジャズフェスという場においてどのようにオーディエンスに訴求するのかが楽しみである。