81年のデビュー以来、日本の音楽シーンにおいて洗練されたサウンドをストイックに追求し続けている音楽家、角松敏生。近年、折からのシティ・ポップ・ブームもあり、国内、そして国外の若いリスナーやDJ、ミュージシャンが大いに注目する存在である。

そんな角松は、プロデューサーやコンポーザー、アレンジャーとして数多くのアーティストの楽曲を手掛けていることも知られている。今回、その名曲群からタワーレコードのスタッフが厳選し、コンパイルした2タイトル『角松敏生ワークス -GOOD DIGGER-』『角松敏生ワークス -GOAL DIGGER-』がリリース。前者はソニー・ミュージックダイレクトからのCD、後者はキングレコードからのタワーレコード限定CDとなっている。

杏里や中森明菜、今井優子、西城秀樹の楽曲など、両作とも〈角松敏生の仕事といえばこれ!〉という定番を押さえつつ、こだわりのシングル・ヴァージョンや未配信のレア音源を複数収録。さらに、全曲に2020年の最新リマスタリングが施されており、繊細かつパワフルな音は聴きごたえが抜群だ(なかにはTokyo Ensemble Labや青木智仁といった、30年以上の月日を経てリマスターされた楽曲も)。また角松本人がセルフ・カヴァーし、ライブの十八番になっている人気曲の原曲も多い。つまり、角松のキャリアにおいても重要な作品ばかりなのだ。

鈴木英人による美しいアートワークに彩られた、2つの輝かしいコンピレーション。その2020年的な聴きどころを、角松へのインタビュー経験もある音楽ライター/ディレクターの柴崎祐二が掘り下げる。 *Mikiki編集部