孤高の前衛性を貫く地下界の重鎮と、ソロからフィルまで多彩な形態で活動する気鋭の音楽家によるコラボ盤。蓮沼がほぼすべての作詞・作曲と演奏、ミックス、プロデュースを担い、蓮沼の詩に灰野が即興でメロディーを与える――そんな手法で制作された本作は、完成まで実に4年を費やしたという。ノンビートのアンビエンスからリズム特化のエレクトロニカまで有機的に変化する音響空間のなか、遠ざかっては近づき、静寂に溶けては場を埋め尽くすように増殖し、深いエコーを纏っては生々しく響く灰野の〈うた〉。言葉が厳かな神秘性を帯び、音楽になる瞬間に立ち会ったような、瞑想的な陶酔に包まれる一枚。