前作より7年の歳月を経た新作は、重厚なストリングスにたゆたうティム・スミスのヴォーカル、屋敷豪太のアグレッシヴなドラムが共鳴した冒頭の“Chariot I Plead”から心を震わせる。悲しみや怒りを内包したこだま和文のトランペットが胸を刺すUKレゲエ調の“Struggle”など、混沌とした世界や渦巻く心情を吐露したような内省的なサウンドが印象的だが、デニス・シャーウッドの柔らかな歌声に笑みがこぼれる表題曲や、オケイ・カヤを迎えた美しいエンディング“Almost Nothing”など、暗闇の先にある光を指し示した楽曲構成からは彼の確固たる〈希望〉が見える。聴く者の感情を動かす孤高の傑作だ。