アポロやMaltineからのリリースでその動向を注視されてきた新鋭プロデューサーの初作は、いろいろジメッとした昨今のアレコレを一聴でそのメロウな納涼ビーツで浄化してくれるだろう。親日家としても有名なこの若き才能はSilent Poetsやspeedometer.など90年代の和ものアブストラクトが内包していた都市生活者のサバービアな感性も呼び起こさせる。耳触りのいい純正エレクトロニカがアルバム・タイトルよろしくゆったりとしたビートにノリながら、しっぽり迫ってくる様ときたらもう実に官能的。小品も含め良曲が並ぶなか、行間に声なきエモーションを詰め込んだ“Approaching Ends”とラグジュアリーに仕立てられたアイシーなトラップ“Struck Out”が冷房要らずの清涼感で絶品でふ。