弦のよく歌う1曲目から、アンサンブルを包むホールの深い響きに、気がつくとどっぷり浸かっている。ラテンの音楽のもうひとつの魅力である、甘さが最後の一切れまで沁みたこのアルバムをゆっくり楽しんだ。ラテンのピアニスト、アレンジャーであり作曲家、クラーヴェやモントゥーノのエデュケーターとしても知られる森村献の最新作。2022年のコンサート・ホールでの公演を収録したもので、ゲストに4名のヴォーカリストを迎え、シンフォニックにしつらえた古今東西の名曲とオリジナルを並べる。長年、森村が抱き続けた編成によるサウンドは十分に発酵が進み素晴らしいバランスで溶けていく。
森村献『グラシアス』シンフォニックにしつらえた古今東西の名曲&オリジナルをホールの深い響きとともにどっぷり堪能
ジャンル
ジャズ