3. 約束のうた
作中では、人気音楽番組「MUSIC STATES」で披露した、TENBLANKのファーストシングル曲。作詞はAqua Timezの太志、作曲は大濱が担当しており、緩急が秀逸で何度も繰り返し聴きたくなる楽曲だ。実際、作中でも〈さっきの演奏もう一回聴きたい〉と話題になり、同曲をきっかけにより広い層にTENBLANKの名が知られていった。
とりわけ、太志らしさを感じる繊細な言葉選びで前向きな感情を丁寧に綴った歌詞を歌う藤谷の歌声に惹きつけられる。「MUSIC STATES」では紆余曲折あって特殊な環境で披露することになったのだが、それでも前を向いている彼らの希望に溢れる様子が演奏から伝わってくる。
4. Lucky Me
全英語詞である同曲は、作詞作曲をONE OK ROCKの楽曲も手掛けるJamil Kazmi、CJ Baranが担当している。そんな同曲はシンプルでどこか壮大なサウンドに、ピアノの美しい繊細な音色が映えている。しかし途中からバンド構成になることで、タイトルの〈Lucky Me=運が良い!〉というテイストが加わってくるのも楽しい。
同曲はライブが中止になってしまった後、藤谷がファンに向けて行った配信で歌われた楽曲だ。その意味を考察しながら楽曲とドラマをチェックしてみても面白いかもしれない。
5. シトラス
他のTENBLANKの楽曲と比べると抜けのいいサウンドが際立っており、爽やかで優しい印象だ。しかし、エモーショナルな部分もしっかりあり、紛れもなくTENBLANKの楽曲だということが伝わってくる。
ちなみに作中では菅田将暉演じる真崎桐哉がボーカルを務める、TENBLANKの敵対ユニット、OVER CHROMEの楽曲と偶然にもメロディラインがまったく同じになってしまったという曲でもある。その理由を知ると、また違った印象を受けるはずなので、ぜひドラマの内容も併せてチェックしたい。
6. PLAY OUT LOUD
キーボードの坂本が作った曲を藤谷がアレンジしたのが同曲だ。もともとはピアノが引き立つ流れるようなアレンジだったためか、ピアノとギターの滑らかに響く音色が印象的だ。しかし、藤谷のアレンジで一気にロックテイストになったことでドラムの音も際立つ仕上がりに。例えば、ドラムのフィルとギターがリンクしたり、曲の展開が変わるところにアクセントになるいいドラムの音が入っていたり。TENBLANK一人ひとりの音がパズルのように組み合わさり、お互いを引き立て合っているのを楽しめる1曲だ。
7. Chasing Blurry Lines
〈不明瞭なものを追い求めて〉という意味のタイトルである同曲は、藤谷の抱える問題が世間に知られた直後に歌った曲だ。作詞を清 竜人、Jamil Kazmi、作曲を飛内将大が担当している同曲は、何と言ってもストーリーと重なる歌詞がいい。それを彩るかのようなドラマチックな展開が、さらに楽曲への没入感を高めていると言えそうだ。
そして作中では、音源に収録されているのとは少し違ったバージョンが披露されている。ストーリーの展開も相まって、グッと来る作中バージョンも必聴だ。
8. 君とうたう歌(feat. 櫻井ユキノ)
髙石あかりが演じる歌姫・櫻井ユキノのフィーチャリング曲。最終話のライブでも披露されており、ストーリーの盛り上がりに一役買っていた楽曲だ。
そんな同曲の作詞作曲は、藤井 風の楽曲プロデュースなどでも有名なYaffle。R&B調のサウンドは、櫻井の包み込まれるような歌声をこれでもかというほど際立たせている。さらに、藤谷の歌声とのコントラストも美しい。そして、2人の歌声を邪魔しない、優しさを感じる楽器隊の演奏も耳に心地よい。
ちなみに、櫻井の歌唱パートを担当しているのは、若きアーティストao。元々その歌声が評価されていたaoだが、改めて彼女の歌声の魅力を感じられるようにもなっている。