メジャーデビューから今年で20周年を迎えたRADWIMPS。2025年10月8日にはニューアルバム『あにゅー』が発表となり、本日11月19日には米津玄師、YOASOBI、角野隼斗ら豪華14組が参加したトリビュートアルバム『Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-』もリリースされた。
RADWIMPSが20年もの間メジャーシーンの最前線を走り続けられた理由は多々あるが、野田洋次郎の生み出す豊かな楽曲がその1つであることに異論を唱える人はいないだろう。本稿では、特定のジャンルに縛られない、比類なき才能を有した野田のソングライティングについて分析していく。
Chara、ハナレグミ、なえなの……野田洋次郎の言葉とメロディーを歌った者たち
まずは野田が手がけるRADWIMPSの楽曲について、その特徴は大雑把ではあるが2つの系統に分けることができるように思う。
実際はこの2つの系統をベースに、バラードであったり、
こうしたRADWIMPS/
Chara “ラブラドール”
(2008年作『honey』収録曲)
野田が初めて楽曲提供・プロデュースを務めたミドルチューン。演奏陣として西川進(ギター)、蔦谷好位置(キーボード)のほか、BUMP OF CHICKENの直井由文(ベース)、RIZEの金子ノブアキ(ドラムス)といった面々が参加しており当時話題となった。クリーントーンのエレキとアコギが絡み合う印象的なイントロから野田らしさ全開で、サウンドの傾向としては同年にRADWIMPSでリリースした“オーダーメイド”の延長線上にある楽曲とも言える。
1音1音のヘヴィさに重きを置いた金子のドラム、
ハナレグミ “おあいこ”
(2015年作『What are you looking for』収録曲)
野田が敬愛するハナレグミの5thアルバム『What are you looking for』に収録された心に沁み入るバラード。前述したChara“ラブラドール”をハナレグミこと永積崇が聴いた際に感銘を受けたことから、交流のあった野田に楽曲制作を依頼したのだという。アレンジは野田と永積、クラムボンの原田郁子の3人で手がけており、原田はコーラスとピアノでも参加している。
〈ずるい〉のリフレインが特に印象的な失恋ソングだが、次第に熱を帯びていく永積のボーカル、2コーラス目以降の壮大なゴスペルクワイヤとドラマティックな表現や構成が耳を引く曲でもある。相手との関係が終わりを迎えたことについて、なかば無理やり自分を納得させるような歌詞から、誰かに向けた愛や好意が実はエゴイスティックなものであることに気づかさせる。
野田の歌詞は、こういった人間の不甲斐なさや不器用さに着目することが多い。それは彼が多大な影響を受けた先達(サザンオールスターズ、松任谷由実、Mr.Children、スピッツなど)とも共通している部分だ。野田の綴る言葉と描く物語が風化しないのは、時間の流れに左右されない人間の本質をとらえ続けているからなのかもしれない。

