伝説のライブから35年、完全版が待望のCD化

BOØWYのライブCD+写真集作品『Memories of 1224』が2022年12月24日にリリースされた。

BOØWY 『Memories of 1224』 ユニバーサル(2022)

本作は、アルバム『PSYCHOPATH』(87年)を引っさげて開催された全国ツアー〈ROCK’N ROLL REVIEW DR.FEELMAN’S PSYCOPATHIC HEARTS CLUB BAND TOUR〉の最終日、87年12月24日に行なわれた東京・渋谷公会堂公演の模様を収録した2枚組ライブアルバム。

同ステージのCD音源は、2013年に劇場公開された映画のサントラ『1224 FILM THE MOVIE 2013 ORIGINAL SOUNDTRACK』として登場したものの、限定された形式で発売されたことに加えて、それ以降は再発されていなかったため、入手できたファンに限りがあり、オークションサイトではかなり高騰した価格で取引されている。

また、そのサントラ盤はライブを撮影したフィルムの一部が見つかっていなかった頃の作品であるために、終盤に演奏された“ONLY YOU”の途中に無音部分がある状態のバージョンだった。その後、消えていた箇所のマスターが発見され、2017年には完全版となるDVD/Blu-ray「1224 -THE ORIGINAL-」が到着したものの、完全版のCDは未発売だったこともあり、このたびバンドのデビュー40周年と同公演から35周年という2022年に待望のCD化が実現した。

2017年の映像作品「1224 -THE ORIGINAL-」ダイジェスト動画

 

明日なきハイボルテージでキャリアハイを記録した実質的解散ライブ

現在も映像作品は流通しているため、この日のライブについての詳しい説明はいらないかもですが、簡単に紹介すると……同公演の2回目のアンコール曲であり最後の曲となった“DREAMIN’”の前に、氷室京介がステージ上でバンドの解散宣言をした(厳密に言うと〈解散〉というワードは一切登場してない)ことでも知られるライブで、翌年東京ドームで行なわれた〈LAST GIGS〉はファンへの感謝の意味合いが強いため、実質的な解散ライブは〈1224〉であるという声も。

ただし、ここでの彼らの演奏はまさにキャリアハイとも言えるようなもの。“LIAR GIRL”から始まる数曲は、〈俺たちに明日はない〉を体現するかのようなハイボルテージで進み、このまま持つのか心配になってしまうほど。また、ライブが行なわれたのがクリスマスイブということで、“BLUE VACATION”では布袋寅泰がギターソロに“ジングルベル”のメロディーを盛り込んだプレイをするなど、なんともニヤリとさせられるクリスマスプレゼント的な展開も。なお、『PSYCHOPATH』のツアーということで、同作収録曲を中心としたセットリストが組まれているが、“CLOUDY HEART”“B・BLUE”“NO. NEW YORK”など問答無用のキラーチューンも披露されている。

『Memories of 1224』収録曲“NO. NEW YORK”

「1224 -THE ORIGINAL-」を繰り返し鑑賞したファンならば映像がなくても、“わがままジュリエット”で珍しくヘッドフォンを装着して演奏する高橋まこと、“HONKY TONKY CRAZY”で笑顔を見せる松井恒松、“IMAGE DOWN”でユーモアたっぷりの裏声コーラスを披露する布袋とそれに膝から崩れ落ちる楽しそうなリアクションを見せる氷室の姿を容易に思い出せるかと。

しかし、前述した氷室の解散宣言部分は音声だけでもスリリング極まりない。日本の音楽史上、ここまで緊張感を持って届けられたMCはほかにはないのでは。

『Memories of 1224』収録曲“MARIONETTE”

 

BOØWYは別格の存在だと再認識

そんな〈メモリアル〉なパフォーマンスの模様を収めた『Memories of 1224』。映像ほどの情報量がないからこそ、よりBOØWYの〈音楽〉にフォーカスを当てた楽しみ方ができると言ってもいいかもしれない。絶頂期に解散したバンドの〈伝説〉の演奏の数々に、耳と心を集中。やはり、BOØWYは別格の存在であることを改めて認識することができるはずだ。

ちなみに、本作は2017年にリリースされた「1224 -THE ORIGINAL-」の4K Ultra HD Blu-ray仕様から抜き出した写真で構成された64ページに及ぶスペシャルフォトブックをフィーチャーした、限定版7インチサイズメモリアルボックスです。買い逃し厳禁!

 


RELEASE INFORMATION

BOØWY 『Memories of 1224』 ユニバーサル(2022)

リリース日:2022年12月24日
品番:UPCY-90180
仕様:2CD+64P写真集 7インチサイズBOX仕様(限定生産)
価格:5,500円(税込)

TRACKLIST
DISC 1 
1. LIAR GIRL
2. ANGEL PASSED CHILDREN
3. BLUE VACATION
4. ハイウェイに乗る前に
5. GIGOLO&GIGOLET
6. PSYCHOPATH
7. CLOUDY HEART
8. MARIONETTE
9. わがままジュリエット
10. LONGER THAN FOREVER
11. 季節が君だけを変える
12. WORKING MAN
13. B・BLUE
14. RENDEZ-VOUS
15. HONKY TONKY CRAZY
16. PLASTIC BOMB
17. BEAT SWEET
18. IMAGE DOWN
19. NO. NEW YORK

DISC 2
1. MEMORY
2. ONLY YOU
3. DREAMIN’

 


PROFILE: BOØWY
BOØWYとは、氷室京介(ボーカル)、布袋寅泰(ギター)、松井恒松(ベース)、高橋まこと(ドラムス)によって、81年~88年まで活動したロックバンド。新宿ロフト、渋谷公会堂、日本武道館、東京ドームまでを一気に駆け抜けた唯一無二のカリスマ的人気を誇り、アーティストにも数多くのフォロワーを持つ。82年にアルバム『MORAL』でレコードデビュー。86年、4作目のアルバム『JUST A HERO』でブレイク。同年リリースした、シングル“B・BLUE”のヒットによって日本中にバンドブームを巻き起こした。6作のオリジナルアルバムを残している。BOØWYのバンド名にある記号〈Ø(空集合)〉は、〈何処にも属さない、誰にも似たくない〉という意味をもつ。86年、氷室京介による「ライヴハウス武道館へようこそ!」の名MCで知られる日本武道館公演を成功させるなど、名実共にNo. 1ロックバンドの地位を確立。人気絶頂期の87年12月24日、渋谷公会堂にて突然の解散宣言。88年4月4日、5日に完成したばかりの東京ドームで行われた〈LAST GIGS〉が最後のステージとなった。その人気は、チケット購入で電話回線をパンクさせるなど社会現象となった。98年にリリースされた初のベストアルバム『THIS BOØWY』は、解散後10年を経過しているにもかかわらず220万枚以上の売り上げを記録。バンド不在のままセールスを驚異的に伸ばすなど、これまでに幾度もBOØWY現象を巻き起こし続けている。

※現在のアーティスト名は松井常松