2007年のデビューからトップ・アーティストの座に君臨しているワンリパブリック。問答無用なヒットを満載したベスト盤からその栄光の歩みを振り返ってみよう!

全キャリアを集約したベスト

 以前から日本が大好きと公言していたワンリパブリック。よくある来日時のリップサーヴィスかと思っていたら、7月配信の新曲“Beautiful Colors”は日本のアニメ「怪獣8号」の第2期エンディングテーマであり、同アニメ関連では“Nobody”“Invincible”に続いて3曲目。フロントマンのライアン・テダーが、わざわざこのために書き下ろしたという一曲だ。

ONEREPUBLIC 『Beautiful Colors (from 怪獣8号)』 Third Party Label(2025)

 ライアンといえば、日本の8人組ボーイズ・グループ、ONE OR EIGHTの世界デビュー曲“Don’t Tell Nobody”のプロデュースを手掛けたり、関係者向けのアルバム視聴会のために来日したり、ワンリパブリックとしても今年1月の公演で3年連続の来日を果たしている。そんな彼らの日本愛に応えるかのように、日本での人気や認知度もようやく世界レヴェルに近づいてきた今日この頃、バンド初となるグレイテスト・ヒッツ・アルバム『OneRepublic: The Collection』が届けられた。以前にも日本独自のベスト盤はコンパイルされていたけれど、今回は全世界を対象にしたリリース。もちろん2007年のデビュー以来放たれてきた数々のヒット曲が網羅され、全キャリアが集約されている。

ONEREPUBLIC 『The Collection』 UMe/ユニバーサル(2025)

 ワンリパブリックが音楽シーンで初めて頭角を現したのは、2007年発表のデビュー曲“Apologize”。もともとこの曲は、彼らの所属するレーベル=モズリー(インタースコープ傘下)の創設者でもあるプロデューサー、ティンバランドのアルバム『Shock Value』に収録されていたもので、その後に〈Timbaland Mix〉としてシングル・カット。同年に発表されたバンドのデビュー・アルバム『Dreaming Out Loud』に収録のオリジナル・ヴァージョンと共に大ヒットし、全米シングル・チャートでは最高2位まで上昇し、どちらも長期にわたって世界中のヒット・チャートを席巻した。同曲はグラミー賞の最優秀ポップ・パフォーマンス賞(ヴォーカル・デュオ/グループ部門)にもノミネート。同じ時期には、ライアンの手掛けたレオナ・ルイスの“Bleeding Love”やビヨンセの“Halo”もチャートを賑わせ、ライアン及びワンリパブリックは一躍時の人として持て囃された。

 だが、一時の人気者では終わらなかったのが彼らの凄いところだ。デビュー作からの“Stop And Stare”に続き、2009年の2作目『Waking Up』からも“All The Right Moves”“Secrets”“Good Life”といったヒットを次々と放っていく。なかでも2013年の3作目『Native』からのシングル“Counting Stars”は、“Apologize”と並ぶ彼らにとっても最大級のヒットと化した。同アルバムは初の全米TOP10入りを果たし(最高4位)、さらに“Love Runs Out”“I Lived”などのヒットも続出。この頃からバンドとしての個性や魅力もより明確になり、人気も定着。一方でライアンは、ソングライター/プロデューサーとして他アーティストの作品でも引き続き才能を発揮していく。アデルの『21』と『25』、テイラー・スウィフトの『1989』といったアルバムでグラミーを受賞したほか、マルーン5やエド・シーラン、エリー・ゴールディング、アリアナ・グランデ、ジョナス・ブラザーズ、ショーン・メンデス、カイゴ、ゼッド、デヴィッド・ゲッタなどなど、関与していないビッグ・アーティストを探すのが難しいほど多数のヒット曲に携わり、ポップ・シーンの最前線で活躍を繰り広げた。