あくまでも全米/全英のポップ・チャートだけに基準を置くのならそこでのピークは過ぎたように思えるEDMブームだが、そのシーンが生み出した新たな基準を眺める視点があれば、定着したどころじゃない状況がまだまだ続いているのは言うまでもない。ってことで、今年もっとも待たれていた作品のひとつ、ゼッドのニュー・アルバム『True Colors』がついに登場した。
先行スマッシュ・ヒットとなった恋人セレーナ・ゴメスとの“I Want You To Know”からもわかるようにシンガロング必至なエモい青春モー度はさらにアップしていて、エミネム&リアーナ“The Monster”を書いたヴィジョナリー期待の新人ジョン・ベリオンを迎えての“Beautiful Now”など、大らかで優しいメロディーを装備した歌ものユーロ・ポップの美学が直情的な錬度を高めながら突き詰められている。“Transmission”で絡むロジックとXアンバサダーズ、“Illusion”のエコースミスといったコラボ相手がフレッシュな顔ぶれなのも特徴的だ。ロジャー・トラウトマンの“Break Through”をネタ使いしたビッグルーム系“Bumble Bee”のような新味もありつつ、安心感をうまく練り合わせた充実の一作と言えるだろう。
一方、これまた待望感バリバリだったのが、昨年の〈ULTRA JAPAN〉でも大絶賛を浴びたアレッソのファースト・アルバム『Forever』だ。同郷のスウェディッシュ・ハウス・マフィアに寵愛されて名を広め、デヴィッド・ゲッタやカルヴィン・ハリスとも共作してきた23歳。トーヴ・ロウと組んだ昨年のビッグ・チューン“Heroes(We Could Be)”によって世界的な注目を集めることになった彼だが、その期待は余裕で満たされることだろう。“Cool”のロイ・イングリッシュやシレーナ、ワンリパブリック改編からの縁となるライアン・テダーなど……とにかくエモいメロの美しさと親しみやすさが残る快作である。