当代屈指のポップ・バンドから日本へのプレゼントが到着――壮大なスケールでエモーショナルな名曲を展開する彼らの魅力をこの機会に堪能しよう!
苦闘を重ねてのデビュー
世界的ヒットメイカーのライアン・テダー率いるワンリパブリックから、3月の来日公演を記念して日本独自企画アルバム『OneRepublic (Japan Paradise Tour Edition)』が届けられた。最近のワンリパブリックといえば、世界的な話題作となった昨年の映画「トップガン マーヴェリック」の挿入歌“I Ain’t Worried”のヒットがまだ記憶に新しいところだが今回の独自企画盤は、鮮烈なファースト・インパクト“Apologize”(2007年)や世界的に成功した代表曲“Counting Stars”(2013年)から、初CD化された“Sunshine”(2021年)と“West Coast”(2022年)、そしてもちろん“I Ain’t Worried”まで全18曲を日本のファンのためにコンパイルした、まさにスペシャルなベスト盤となる。今回はその収録曲を軸に彼らのキャリアを振り返ってみよう。
2007年のメジャー・デビューから現在まで15年以上の長きにわたってメインストリームの前線に立ち続けているワンリパブリックだが、その歴史はさらに10年以上も遡ることができる。コロラドスプリングスの高校で親しくなったライアン・テダー(ヴォーカル)とザック・フィルキンス(ギター)が最初にバンドを結成したのは96年のこと。バンド名はシックスペンス・ノン・ザ・リッチャーの前年作『This Beautiful Mess』からそのまま取ったディス・ビューティフル・メス。その学生バンドは各々が別の大学に進学することで自然消滅したが、2002年にテダーとフィルキンスはLAで再会してリパブリックなるバンドを結成する。同名バンドがいたため後にワンリパブリックと改名した彼らは、テダーがソングライターとして音楽業界に入り込みつつあった縁もあってかコロムビアと契約を果たす。ただ、2005年にアルバム完成まで漕ぎ着けるものの、リリース目前に契約は解除されてしまった。
それでも当時の先進的なウェブサイトだったMySpaceを経由して注目を集めた彼らは、やがてトップ・プロデューサーのティンバランドが主宰するモズリー・ミュージックと契約を結ぶに至った。この時点で何度かのメンバー交替を経ていたバンドは、最終的にテダーとフィルキンス、ブレント・クツレ(ベース/チェロ)、エディ・フィッシャー(ドラムス)、ドリュー・ブラウン(ギター)というラインナップで2007年にデビュー・アルバム『Dreaming Out Loud』を発表する。そのリード・シングルこそが彼らの運命を切り開く“Apologize”であった。
コロムビア時代に出来上がっていたこの曲は、ティンバランドのアルバム『Shock Value』に彼のリミックスという形で収録されて脚光を浴び、最終的には全米3位まで上昇し、世界16か国でNo.1を記録。グレッグ・ウェルズが共同制作したアルバムからはエモーショナルな“Stop And Stare”も国内外でヒットし、バンドはこれ以上ない最高のスタートを切ることになった。