
高解像度かつ〈音の塊〉で迫ってくるサウンド
──では早速、1曲ずつ聴いていきましょう。まずはファーストアルバム『FURTHER ALONG ~もっと遠くへ~』から“LIFE IS SPIRAL”を。
小山「これまでの印象と比べて、音の迫力がまるで違いました。以前はギターのガシャガシャした分離感に魅力を感じていましたが、今回はまずベースがすごく綺麗に出ていて、ギターとも溶け合い〈音の塊〉として迫ってくる。まるでノーザンソウルを大音量で聴いているような、ベースとドラムの圧を感じました。
さらにギターのふくよかさは初期ビートルズを思わせつつ、全体は一体感をもってまとまっている。その新鮮さに驚きましたね。スネアなどドラムの抜けも良く、とても気持ちよかったです」
熊谷「僕も、Spiral Lifeのお2人が60年代の音楽に深い敬意を持っていたことを強く感じました。12弦ギターの響きは〈きっとこう鳴らしたかったんだろうな〉と思える仕上がりで、ザ・バーズを思い出しました。小山さんが言われた〈音の塊感〉もまさにその通りで、もし60年代のサウンドを90年代で表現したらこうなるんだろうな、と。その融合がとてもかっこいいと思いました」
岩渕「お2人と同じ感想ですが、この曲は60〜70年代を意識して作られていると思います。それをこうしてレコードで、この音質で聴けるのは本当に感慨深いですね」
寺田康彦「僕はCDになってから、音が少し詰まった印象を受けていたんです。その点アナログ盤は多少ラフな部分もありますが、ダイナミクスがしっかり出ている。カッティングの際に、コンプレッションをあまりかけていないことが大きいと思います。録音時にドラムにはある程度コンプをかけていますが、2ミックスの段階でさらに圧縮すると迫力が失われてしまう。その点レコードは勢いや迫力を残せると改めて感じましたね」

──同じく『FURTHER ALONG』から、“CHRONICLE ~星のクロニクル~”を聴いてみましょう。
岩渕「この曲の石田さんの歌い方にはどこか昭和的なポップさを感じて、とても好きなんです。今回の試聴では、以前よりも歌がしっかり前に出ていて新鮮でした。楽器も一つひとつが立っていて、全体のバランスがとても良く、思わず聴き入ってしまいました」
寺田「石田のボーカルが素晴らしいですよね。僕も久しぶりに聴いて、改めてそう思いました」
熊谷「サビに入った瞬間の高揚感、レンジが一気に広がる感じが圧倒的でした。ボーカルやアコギの艶やかさも前面に出ていて、サブスクで聴くのとはまったく違う。その音の良さに感動しましたね」
小山「最初は音数が少なく、歌の存在感が際立つ分、逆に緊張感もありました。その後、徐々に楽器が重なり、最後は心地よく混ざり合ってホッとするようなストーリー性を感じます。音数の少なさとボーカルの対比がとても印象的で、ビリビリと響いてきましたね」
寺田「この曲では弦アレンジを取り入れました。〈どう仕上がるかな〉と思いながら取り組んだ記憶がありますが、結果的にとてもうまくいったと思います。特に低音がしっかりと出ていて、その上にマンドリンのような弦の響きが重なって、とても綺麗な響きです。レコードで聴くと、当時は気づかなかったくらいサウンドが馴染んでいるのを実感しますね。
それとこの曲は、それまで歪んだ爆音ギターばかり録っていた自分にとって〈Spiral Lifeはこんなこともできるんだ〉と思わせてくれる曲でもありました。録音当時から幅広い音楽性を持っていると感じていましたが、それが今回レコードという形で新しい世代に届くのは本当に嬉しいです」
