
サブスクと段違いの迫力、粒立ちのいい響き
──続いてセカンドアルバム『spiral move TELEGENIC 2』より“PEOPLE”を聴いてみましょう。
熊谷「遠くで鳴る弦の広がりと、手前のボンゴやコンガの立体感がとても気持ちよかったです。マッドチェスター的なアプローチを日本でここまで良い音で表現しているのは、自分が聴いた中でも最高峰かもしれない」
小山「同感です。当時のクリエイション・レコード、例えばプライマル・スクリームやザ・ライラック・タイム、ヒプノトーンあたりを意識していたのかなと思いました。ただ音の鳴り方は段違いに良くて。インディーの魅力って音のバランスの崩れも含めて味わい深いのですが、Spiral Lifeはそれを〈音の塊〉としてまとめている。その迫力に圧倒されました。
最後のパーカッションとのバランスも抜群で、ウッドベースも出すぎず要所で綺麗に聞こえ、いいアクセントになっていました。思わず震えましたね」
岩渕「私もパーカッションとベースがとても良かったと思います。特に前半の声の伸びとピアノの響きは、今までの印象とまったく違っていました」
──プライマル・スクリームの“Movin’ On Up”を彷彿とさせるイントロですよね。ゴスペルクワイアの声のばらつきまで、そのまま聴こえてくるような生々しさがありました。
寺田「アレンジはシンプルですが、アナログだと音のギザギザした部分や少し雑なニュアンスまで浮かび上がる。それが逆に魅力になっていましたね」

──では“20TH CENTURY FLIGHT -光の彼方に-”を聴いてみましょう。
小山「UKソウルっぽいフレーバーがありつつ、シンセも入っていて面白い。リズムは打ち込みが中心なのでしょうか? 音の抜き差しのバランスがすごく気持ちいい。途中のブレイクでドラムが前に出てくるところなんかは、まさにダンスミュージック的」
寺田「そこは石田が得意だった部分です。彼が打ち込みを担当し、その上に生演奏を重ねていました。ダイナミクスがしっかり出ていますよね。僕はサブスクと聴き比べましたが、〈ガーン〉と来る感じはサブスクだと弱い」
小山「確かにサブスクだと平坦に感じます。でも今日のアナログは緩急がはっきりしていて、ぜひアナログで聴いてほしい曲だと思いました」
岩渕「私も緩急がとても分かりやすく出ていたと感じました。ベースも当時より強めに聴こえましたし、Spiral Lifeの魅力である2人のハーモニーも、この曲で存分に堪能できました」
小山「まさに真骨頂ですよね!」
岩渕「はい(笑)。ここで聴けて本当に良かったです」
熊谷「僕はホーンセクションが大好きで、この曲に入ってくるブラスの合いの手がとにかくリッチ。冒頭の〈ダダダダ〉とタムで駆け上がる展開も強烈でした。12弦エレキも音量は大きくないのに粒立ちが良く、全体的に〈お金をかけたサウンド〉だと感じました」
──エフェクトの切れ目や音の立ち上がりまで鮮明に聴こえて、本当に最高でしたね。
寺田「みなさん、よく聴いてくださっていて嬉しいです。低域はアルバム全体で少し出し気味にしたいと意識していました。
それとブラスは当時から本当にすごいメンバーで、この曲に参加した方は、今では日本を代表するトップクラスのプレイヤーになっています。そのサウンドがアナログでしっかり出てくれるのは嬉しいし、自分にとっても大好きな作品です」
