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カッティング作業中の寺田

ギターの強烈な音壁も美しいストリングスも躍動的に鳴らす

──では、サードアルバム『FLOURISH』より“GARDEN”を聴いてみましょう。

Spiral Life 『FLOURISH』 ポリスター(2025)

岩渕「〈ザ・バンドサウンド〉という印象でした。前半はCDで聴いた音と近いように思いましたが、後半の盛り上がり方がまったく違っていて。あの展開こそ、レコードで聴く醍醐味だと感じました」

小山「おっしゃるように、後半のとぐろを巻くような迫力には圧倒されました。ファーストやセカンドに比べると音が分離していないのに、プレイヤーの熱量が鮮明に伝わってくる。洋楽を聴いて求めていた臨場感を、さらに強く感じました」

熊谷「僕は当時のビートポップ的なニュアンスを強く感じました。ボーカルが同時代の他のバンドとは違う響きを持っていて、例えばオアシスのようなサウンドの上に異質な声が乗っている。その不思議さがこの曲の大きな魅力だと思います。ドラムのまとまりも良く、とても好きな仕上がりでした」

寺田「この曲は最初から〈ライブ会場にいるような音〉をイメージしてミックスしました。ザ・キュアーの来日公演を観た時、会場全体が歪んでハウリングする中で、声はかすかにしか聴こえない。でもギターが圧倒的に埋め尽くして迫ってくる――その体験を音に落とし込みたかったんです。音の塊として鳴らすイメージですね。CLUB QUATTROの真ん中でギターサウンドに包まれる感覚を、レコードで味わってもらえたら嬉しいです」

ISC Mastering & Cuttingのカッティングマシン

──最後に“I SAW THE LIGHT -KALEIDOSCOPE WORLD-”を聴いてみましょう。これもどこかビートルズっぽさを感じます。

熊谷「特に弦のふくよかさが印象的で、まるでコリン・ブランストーンのような美しさがありました。チェロの響きも豊かで、〈アナログで聴くならこの音〉と思わせてくれる。まさにコリン meets『Magical Mystery Tour』という感じ。素晴らしい仕上がりでした。ドラムは60年代的というより90年代の同時代性を感じさせ、そのバランスが絶妙。コーラスワークも美しかったです」

小山「音の広がりすぎない感じ、密室感がありすぎない絶妙なバランスに驚きました。石田さんのインタビューを読むと、当時は〈60年代の感覚で新しいロックに挑戦した〉らしく、まさにその通りだなと」

──シンプルな編成ながら奥行きがしっかりあり、ドラムの跳ね感や胴鳴りの躍動感も素晴らしいです。

小山「CDよりもはるかに立体感を感じました。60年代的な要素と90年代の空気が見事に着地した曲で、どこか終末感もあってじんわり心に残りました」

岩渕「私も柔らかなストリングスのサウンドがとても好きです。音数は多くなくシンプルなアレンジですが、いい環境で聴くことで奥行きを強く感じました」

寺田「この曲のストリングスはロサンゼルスのキャピトルで録音し、アレンジも現地で依頼したはずです。ストリングスはすべてロスで仕上げました。“GARDEN”と同じアルバムに収録されているとは思えないほど、美しい仕上がりになったと思います。

ちなみに今回のアナログ化では音にこだわり、オリジナルのアナログは1枚組だった『FLOURISH』も2枚組仕様で制作しました。各面に3曲ずつ収録し、詰め込みすぎないことで音の余裕を確保しています」