日本大学藝術学部の文芸学科を卒業後、会社員として働きながら、夢みるアドレセンスの新メンバーオーディションに応募して合格し、キャリアをスタートさせた瀬名ちひろ。2024年にセルフプロデュースによる初のソロシングル“ばず らいふ イヤー!”をリリース。日本が世界に誇るkawaii文化を再定義した同曲のMVが注目され、ドイツのiTunes Store J-POPチャートでは最高13位にランクインした。
作詞のみならず、衣装・アートワーク・振り付けも自らディレクションするなど、楽曲の世界観をトータルプロデュースする瀬名が、〈ドリンク × 恋愛〉をテーマにした3部作を収めたミニアルバム『ストロー越しの恋心』を2026年2月11日(水)にリリースする。サウンドも歌詞も明確にテーマを設け、独自の〈kawaii〉を構築している瀬名にインタビューした。
※このインタビューは2026年2月25日(水)に発行予定の「bounce vol.507」に掲載される記事の拡大版です
サイダーの曲から始まった〈ドリンク × 恋愛〉3部作
――セルフプロデュースによる〈ドリンク × 恋愛〉をテーマにした3部作をリリースしようと思ったのはどうしてだったんでしょう?
「最初に“両片想い”をリリースしたんですが、夏らしいモチーフとして〈サイダー〉が思い浮かんだんです。あと私が以前活動していたグループの代表曲に“メロンソーダ”という曲があって、これまで自分が頑張ってきた軌跡を要素に入れ込みたくて、炭酸の派生で〈サイダー〉をテーマにしました。
歌詞も〈イケナイことが シュワシュワ/知らなくていい過去も シュワシュワ〉っていうフレーズを入れることで、炭酸の泡が過去の恋とともに消えてしまう儚さと、片想いしているワクワクした気持ちを表現してみました。1曲目が完成した後、〈ドリンク × 恋愛〉というテーマを思いついたんですが、オリジナリティもあって、作詞していた時に自分の心が躍ってたことに気づいたりもして、これをシリーズ化したら面白いかなって」
――“両片想い”には〈B型主人公の私の 取り扱いはプロ級!〉という歌詞もありますが、これは瀬名さんのことですか?
「そうです(笑)。その頃MBTIにハマってて、私はENFJという主人公タイプだったので、よりリアルな主人公を描きたくてモデルを自分にして書きました」
――歌詞を書いてから音を付けたそうですが、KISIMENとして活躍されている松岡直哉さんに作曲のオファーをしたのはどうしてだったんでしょう?
「何が流行っているのかを知るためにTikTokをいろいろ見ていたら松岡さんが作ったanna callaさんの“ビジュがレベチ”っていう曲が何度も回ってきて。女の子の多くはビジュアルを意識していますし、〈ビジュ〉という言葉と沼りやすい音ハメにパワーをもらえたんです。“両片想い”も誰かの背中を押すパワーを封じ込められたらいいなと思って、チーム一丸となって制作を進めていきました」
――“両片想い”は〈kawaii ROCK〉と銘打たれたとてもポップで胸キュンな曲ですが、松岡さんに何か具体的なリクエストはされたんですか?
「この前に出した2曲(“ばず らいふ イヤー!”“parallel”)は〈kawaii POP〉と〈kawaii EDM〉と銘打っていたので、引き続き〈kawaii〉シリーズにしようとは思っていたんです。松岡さんにはロックサウンドでかわいい曲にしてほしいとお願いしたら、想像通りの曲が上がってきたんです」
甘さと苦さのバランスにこだわった“寂しい私にハイティーを”
――〈ドリンク × 恋愛〉をテーマにした2作目が“寂しい私にハイティーを”です。〈運命の相手以外との恋愛は必要ないけど、一人はたまに寂しい〉という心の声を描いた曲ですが、どうイメージを膨らませていったんでしょう?
「“両片想い”は好きになったらまっすぐに追いかけるダイレクトな恋愛観ですが、この曲は本当の愛を信じきれていない臆病な主人公の気持ちをイメージしました。強がっているけど、本当は一人でいることが寂しいんだ、という。
私は日によって気分が違うんですけど、そういう私自身の性格の一部も結構入れてます。〈都合良すぎちゃうロマンスには飽きた〉というフレーズには大人の私が子供みたいなことを考えている部分とか、〈異色の愛じゃないと 運命の感じがしないやいや〉っていうフレーズなんかは、運命という言葉が好きな自分っぽいなと思いますね」
――そこに紅茶やスイーツの要素を掛け合わせたという。
「そうですね。自分の好きな紅茶やスイーツを連想させる言葉を足していきました。甘さと苦さの狭間みたいなバランス感にこだわりました」
――この曲のサウンドコンセプトは〈kawaii JAZZ〉で、瀬名さんが好きな戦慄かなのさんのアイドルユニットfemme fataleや、菅田将暉さんの曲を手掛けているKohei Shimizuさんの作曲です。
「“両片想い”は割と元気なサウンドでしたが、“寂しい私にハイティーを”は優雅で刹那的な曲にしたかったので、清水さんが手掛けるどこか不思議で吸い込まれていくようなサウンドがイメージとしてぴったりだと思ってお声がけしました。でも、本格的なジャズサウンドに歌詞を乗せるのは絶対難しいと思ったので、〈(ジャズの要素は)少しでいいです〉とお伝えしていたんです。なので間奏部分をメインにジャズの要素を際立たせてもらいました。アイドルの曲としてはなかなか珍しいしっとりしたジャズテイストの曲だと思います」
