
昭和を追悼したコンセプト作『昭和享年』がアナログ化
そして、1989年(平成元年)発表の芸能生活十周年記念ソロアルバム『昭和享年』。カバーソングで昭和を追悼するコンセプトミニアルバム。前半のアレンジは上野耕路氏、後半は平沢進氏。ボーナストラックは1990年発表のシングルCDより。こちらも平沢進氏のアレンジだ。
この『昭和享年』、今回のBOXの再プレスに合わせてアナログレコードでも発売になる。オリジナルは、アナログレコードからCDへの移行期だったため、CDでしか発売されなかったが(プロモーション盤のみで、『バージンブルース/星の流れに』の7 inch盤は存在するが)、当時アナログレコードとして発売されていたら、45回転の12 inch盤になっていたかも?と妄想する。
今回のアナログ化では、A面にアルバムの6曲を。B面にシングルCDとして発表されたアルバムとは別バージョンの“バージンブルース”、そしてアルバムには未収録の“吹けば飛ぶよな男だが”の2曲に加え、それぞれのオフボーカルミックス(いわゆるカラオケ)の計4曲を収録。カラーレコードなのも嬉しい仕様だ。
ゲルニカの独自編集盤に稀有なデュオ・東口トルエンズの貴重映像
ここまでは既発作品のリイシューだが、次のゲルニカ『LIVE & DEMO』は、このBOXにしか収蔵されていない独自の編集盤で目玉のひとつだ。ゲルニカの初期から後期にかけてのライブ+デモを収録。デモの2曲とトラック2、6、7、8、10、11はすでに『GUERNICA IN MEMORIA FUTURI~ゲルニカ20周年記念完全盤~』及び4枚組コンピレーションCD『GET THE PUNK -J PUNK & NEW WAVE-』で商品化されているが、その他の7曲はこのCDが初の商品化だ。カセットテープがマスターではあるが、音質は良好。後期の弦楽四重奏や、初期の爆笑MCも収録。ジャケットのデザインはもちろん、太田螢一さん。当時のフライヤーをリアレンジしたもので、『GUERNICA IN MEMORIA FUTURI~ゲルニカ20周年記念完全盤~』でも使われているものですが。
ここからは映像作品を収めたDVDが続く。ビデオ「ヤプーズ計画 LIVE & CLIP+2」は、1988年1月渋谷公会堂のライブとビデオクリップを収録したDVD。ボーナストラックとして、“大天使のように”“バージンブルース(ソロ)”のプロモーションビデオ(いずれも未発売)を追加収録。そして東口トルエンズの唯一の作品である「東口DVD」。当時MOSTのギタリストだった山本久土氏(現在は、久土‘N’茶谷、M.J.Qなどで活動)と戸川純の血だるまアコースティックデュオが、東口トルエンズだ。平田弘史氏の劇画「血だるま剣法」からインスパイアされたキャッチであり、実際に流血していたわけではない、念のため。
活動は2004年から2006年の約2年間で、戸川純のレパートリーやカバー曲を山本氏の独自のアレンジで聴かせる稀有なデュオだった。ここに収録されているピンク・レディーの“UFO”のブルージーなカバーなどは、現在の戸川純のライブに生かされていると思う。歌詞を英訳したテキストデータも収録されており、翻訳は、先日亡くなったモーリー・ロバートソン氏だ。“家畜海峡”の世界観を説明する註釈で、日本における奉公の意味を英訳してもらったのを思い出す。モーリー氏にも色々お世話になった。ありがとうございました。
最大の目玉は未発表ライブ映像
そして、最後が今回のBOXの最大の目玉「TEICHIKU WORKS LIVE DVD」だ。ヤプーズ、ゲルニカ、東口トルエンズのライブ映像を収めたDVDで、それぞれこれまで商品化されたことのない映像だ。
ヤプーズは、テイチクのレーベルであるBAIDISの1988年のショウケースイベントでのライブを収録。当時ビデオコンサート(ビデコンと言っても若い人にはわからないと思うが)か店頭ビデオ用に編集されたもの。会場の汐留PITは、旧国鉄操車場跡に期間限定で建てられた巨大テント。新橋駅から歩けた。
ゲルニカも1988年のライブ。DVD「ゲルニカ:リライティング・ヒストリー 1982-1989」収録のものと同じ日だが、このDVDの映像は2カメで編集されており音質も上々。これも当時ビデオコンサート用に編集されたものを今はなきN2(当時の事務所)から発掘した。
東口トルエンズは、まったくの未発表。「東口DVD」発売直後のライブ3本をコンパクトにまとめたもの。映画「釣りバカ日誌」から“鈴木建設社歌”など通!な選曲。なお、“また恋したのよ”は、“また恋しちゃったのよ”を改題したものだ。
