Page 3 / 3 1ページ目から読む

菊地成孔との邂逅で浮き彫りになった歌唱の特異性

そして、サクソフォン奏者であり、ジャズミュージシャンの菊地成孔とのコラボレーションも重要だろう。2004年のUAのツアーメンバーの1人として参加するなど、すでにステージ上での共演経験もあった両者だが、2006年にUA × 菊地成孔名義でのアルバム『cure jazz』を発表して以降、数年おきに音源のリリースやライブ活動を行っている。ジャズのスタンダードナンバーをカバーすることも多く、抑揚の効いた英語詞による歌唱が特徴的だ。セッション性の高いライブでは即興でのボーカルも披露し、UAの刹那的でエネルギッシュな表現が引き出されている。

UA, 菊地成孔 『cure jazz』 スピードスター(2006)

元々UAは大阪のジャズクラブで歌唱していたことが音楽活動の原点にあるだけに、菊地とのコラボはその再確認の場になっているように思う。聴き馴染みのあるナンバーだからこそ、UAの歌唱の特異性が浮き彫りになるのだろう。

2020年代に入ると更にコラボレーションの幅は広がっていく。2022年のEP『Are U Romantic?』ではマヒトゥ・ザ・ピーポー(GEZAN)、JQ(Nulbarich)、中村佳穂に加え、永積崇(ハナレグミ)、岸田繁(くるり)、Kj(Dragon Ash)から楽曲提供を受け、自身と作り手とのカラーを混ぜ合わせるように新たな表現の境地を開拓した。

UA 『Are U Romantic?』 スピードスター(2022)

そして新作『NEWME』を締め括った“Twilight Before Sunrise”は、坂本龍一が生前に作曲していた楽曲だ。UAと坂本といえば、2023年に神山まるごと高専の校歌“KAMIYAMA”を共作していたが、“Twilight Before Sunrise”はそれ以前にUAからのオファーを受けて坂本がプレゼントしていたもので、そのたおやかで流麗なメロディが荒木正比呂と西田修大の手で美しく編曲されている。

UAが影響を受けた偉大なる先人アーティストと、彼女の現在の音楽を支える才能が時を超えて共作を果たす。UAを介することで、本来は不可能であったはずのコラボレーションが実現したのだ。

今のUAは圧倒的な個性を放つ表現者であると同時に、才気溢れる後進アーティストをフックアップする立場にもなりつつあるように思う。また、もうこの世に居ないアーティストが遺した表現を歌い継ぐ存在でもある。朝本浩文、レイ・ハラカミ、坂本龍一。彼らの魂を宿した楽曲は、この先もUAを介して何度でもステージで解き放たれていく。

生と死が混ざり合った大いなる自然について描いてきたアニミズム的な価値観を持つ詩人であることも影響してか、UAは年々〈歌い継ぐ存在〉としての説得力も強めている。30年間、絶え間なく様々なクリエイターと邂逅し、自身の表現を磨いてきたUAだからこそ到達し得たユニークでワンダーな境地だ。

 


■参考文献
https://news.j-wave.co.jp/2025/05/content-4211.html
https://www.asahi.com/and/w/article/15830196
https://www.bluenote.co.jp/jp/news/features/11358/

 


RELEASE INFORMATION

UA 『NEWME』 スピードスター(2026)

リリース日:2026年2月18日(水)
配信リンク:https://jvcmusic.lnk.to/UA_NEWME

■初回限定盤(CD+Blu-ray)
品番:VIZL-2450
価格:8,500円(税込)

■通常盤(CDのみ)
品番:VICL-66070
価格:3,630円(税込)

TRACKLIST
CD
1. NEWME
2. Mood
3. Happy
4. ZOMBIE feat. 村上虹郎
5. まわるみらい feat. 藤原さくら
6. WAKEUP feat. MFS
7. GORILLAS are still very shy
8. 変身
9. Tonic
10. ALK
11. Twilight Before Sunrise

Blu-ray *初回限定盤のみ
1. HORIZON
2. お茶
3. 微熱
4. リズム
5. スカートの砂
6. Mood 
7. ALK
8. 愛を露に
9. 電話をするよ
10. TORO
11. 雲がちぎれる時
12. 数え足りない夜の足音
13. ミルクティー〜Love scene〜2人
14. AUWA〜TIDA
EN1. Happy
EN2. 情熱
EN3. 甘い運命
EN4. 太陽手に月は心の両手に

 

LIVE INFORMATION
NEWME 026 
※終了分は割愛
2026年3月27日(金)愛知・アマノ芸術創造センター名古屋
2026年3月29日(日)大阪・NHK大阪ホール

 

BOOK INFORMATION

UA 『UA自伝 おとぎ話を聴かせて』 シンコーミュージック・エンタテイメント(2026)

発売日:2026年3月13日(金)
ISBN:9784401657070
価格:2,500円(税込)
サイズ:四六判
ページ数:320ページ

■タワレコ特典
しおり1枚(先着)
※ご予約済みのお客様も対象となります
※商品ページで〈特典あり〉の記載がない場合は特典対象外となります
※複数枚を1回でご注文された場合、商品がすべて揃うまでに特典の保管期間(発売日より1カ月)を経過すると、自動的に特典付与対象外となります
※特典の数には限りがございます。限定数満了次第、終了とさせていただきます
※タワーレコード店舗とオンラインでは特典の運用状況が異なる場合がございます。店舗でのご購入で特典ご希望のお客様は、各店舗に運用状況をご確認ください

詳細ページ:https://tower.jp/article/feature_item/2026/02/24/3002

 


PROFILE: UA
歌手。UAとは、スワヒリ語で〈花〉という意味を持つ言葉。大阪府出身。母方の故郷は奄美大島。1995年にデビュー。“情熱”“悲しみジョニー”“ミルクティー”などのヒット曲を持ち、AJICOやUA × 菊地成孔でも活動。2003年にNHK Eテレで放送された「ドレミノテレビ」では、うたのおねえさんとしてレギュラー出演。2023年には、UAが歌ったJR東海のCM曲“会いにいこう”が話題となり、20年ぶりに新たに東海道新幹線のチャイムに使われる。ボーカリストとして様々なアーティストの楽曲にも参加。また映画「水の女」「大日本人」「eatrip」にも出演。

また、α-STATION「FLAG RADIO」でDJを務めるなど、その活動は多岐にわたる。そんな幅広い活動と並行し、2005年より都会を離れ、田舎で農的暮らしを実践中。4人の子供の母親で、現在はカナダに居住。

デビュー30周年を迎えた2025年6月20日には、30th Anniversary Yearの最初のリリースとなる配信シングル“Happy”をリリース。そしてデビュー記念日となる6月21日には、日比谷野外大音楽堂にて〈30th Anniversary Live〉を開催。

2026年2月18日には約10年ぶりとなるフルアルバム『NEWME』をリリース。現在全国ツアー〈NEWME 026〉を開催中。