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守りに入っても仕方ない

──そもそもMORRIEさんはBAKIさんにすごく影響を受けたと公言しています。どういうところに惹かれたんですか。

MORRIE「僕にとってGASTUNKっていう存在はやっぱり特別なもので。僕は当時神戸に住んでたんですけれども、大阪にエッグプラントってライブハウスがあって(1984年〜1989年)、その手のバンドは大体そこに出ていて、しょっちゅう見に行ってました。80年代前半から中盤とか面白い時期で、しっちゃかめっちゃかなバンドがいっぱいいました。

ハードコアもそうですし、あらゆるジャンルのヘンテコなバンドがいっぱいいて面白い時期だったんですけど、なかでもGASTUNKのあの破天荒な雰囲気とパンクでもメタルでもないサウンドとね、スカートをはいて白塗りメイクしたBAKIさんのビジュアルとか、ちょっと他にいない強烈なインパクトがあった。内省的な歌詞とかも気に入っていて、ほかとは完全に一線を画していたから。大好きでしたね」

──DEAD ENDとGASTUNKの対バンはあったんですか。

MORRIE「ありますね。1986年に。ギターは足立(祐二)さんが入る前のTAKAHIRO(香川孝博)で、香川のラストライブだった。メジャーデビュー前なのでドラムはTANO(田野勝啓)でしたね。それまでもGASTUNKが関西に来た時は客として全部行ってますけど、対バンして初めて面識を得て。そこから40年お付き合いさせていただいてます。僕がアメリカに移住してからBAKIさんがソロアルバムのミックスでニューヨークに来られて、ウチに泊まっていったこともある」

BAKI「みんなが帰ったあとも1週間ぐらい泊まったよね」

──尊敬する先輩であり友人である、と。BAKIさんはMORRIEさんのことはどう見ておられたんですか。

BAKI「その頃からしか知らないんですけど、すごくえげつない歌詞を歌うなって思った(笑)」

MORRIE「ええっ(笑)」

BAKI「ドロドロした。すごく不思議だったな。それで新しいアルバムを作るたんびに、どんどん新しいことをやってる。どんどん変わっていって、次はどうなるのかわからない。それがすごく面白いと思ったね」

MORRIE「当時、80年代って変わるのが当たり前、変わらなければダメみたいな。変化が善とされていて、同じところで止まっているとダサいみたいな。そういう空気があった気がしますね。だからあえて変えたっていうのではなく、若い時ってどんどん吸収するし、それにつれて変わっていく。僕もそうだったし。メンバー──YOUちゃん(足立)はそんな風でもなかったようだけど──MINATO(湊雅史)もそうですね。それは暗黙の了解のようで、変わり方はちょっと凄まじかったですね」

BAKI「メンバーの意向も反映してくるしね。好きなものが変われば変化するのが当然っていうか」

──それは昔からおっしゃってますよね。変わるのは当たり前だった。

BAKI「当たり前だと思うし。その時やりたいことをやればいいし。音楽することは本当に生きることと直結してるわけだから、その時にピンときたものをやっていかないと自分が自分でなくなっちゃう。その距離感が一番力が出るというか、作品にも自分にも。そこが正直じゃないと、やっぱり伝わるものも伝わらない。そこで限定しないというか、自分から殻を作ったりしない。

今回MORRIEとやることで一体何ができるか、予測ができないのが楽しいから。なんでこんなものを作ったの、って言われても〈知るか! 今はこれなんだよ!〉っていう(笑)」

──そこ、昔から一貫してますよね。

BAKI「うん。守りに入っても仕方ないし、そんなことを考えてもつまらない。自分でも楽しみたいし、それが一番かなと」

 

自分なりのトーン、音調を追求している

──MORRIEさんもそこは共感できる。

MORRIE「そうですね。反面、何かを極めていくって姿勢も非常に大切だと僕は思っている。その両輪ですよ。広げるのも大事だけど、あんまり広げちゃうと取って付けたみたいになって広く浅くなっちゃう。やっぱりひとつのものを極めていくことも大事なんですよね」

──その変わるところと極めていくところ、ご自分の作品ではどこに反映されてますか。

MORRIE「具体的に言うと、やっぱり自分なりの音調ですね。聴くとすぐその人ってわかるような。たとえば坂本龍一を聴くと、あのトーンだけで坂本龍一だとわかるじゃないですか。どんな曲でも。そんな感じでどういうジャンルをやっていても、自分なりのトーンというか、音調というか、そこはずっと追求してますし、自分なりに確立してきていると思います」

──自分の個性はご自分で自覚できている。

MORRIE「もちろん。その一方でね、ジャンルを広げると言っても……(BAKIに)ヒップホップなんか聴いてます?」

BAKI「俺は結構聴くものもあるよ。昔よりも何でも聴くようになったね」

MORRIE「僕もヒップホップが出てきた時は衝撃だったし、面白いとは思ったけど、自分がやるのはなあ、みたいなとこもあるし。その辺のジレンマはちょっとあります。流行ってるのももちろん聴いたりしますけど、ちょっとその辺はね、わかんないな。年を取って感覚がずれてるのかもしれないし、もう60歳を過ぎてますから」

──聴き手として経験を積むと、何を聴いてもだいたい〈これはアレね〉ってわかっちゃうじゃないですか。

MORRIE「うん、それもある」

──だから、若い頃みたいに、何かを聴いて衝撃を受けてガラッと価値観が変わっちゃうとか、何もかもがひっくり返っちゃうみたいな経験ってなかなかないですけど。

MORRIE「うん。若い頃みたいに全般的にアンテナを張り巡らしてしっちゃかめっちゃかなんでも聴くっていう感じではもちろんないけど、でもそのつど新しい感覚や刺激的なものを反映させて常に変わっていきたい、というのはありますね」