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独自のポップセンス

 79年に台湾で生まれたジェイ・チョウ(周杰倫)は、生物教師の父親と美術教師だった母親の間に生まれている。母親の勧めで3歳からピアノを始めたそうで、成長するにつれて着実に才能を磨き上げていったジェイは、進学した高校の音楽科でピアノを専攻するなど、ティーンの頃から音楽にどっぷり熱中して自分の将来を見定めていたのだろう。学業は芳しくなく大学へは進めなかったものの、そのことが却って音楽家になる夢への想いを強くして、生活のためにバイトをしながらチャンスを窺っていたようだ。

 そして97年にTVのオーディション番組に出場して歌とピアノを披露した際、その司会者だったジャッキー・ウー(呉宗憲)に才能を見初められ、彼のプロダクションと契約することになる。当初のジェイは他のアーティストへの楽曲提供という部分から頭角を表し、その頃には日本でも知られたビビアン・スーも含むさまざまなシンガーたちに多くの楽曲を書き下ろしている。そうした貢献と曲作りの速さがジャッキーに認められ、2000年にファースト・アルバム『Jay』をリリースするに至った。スーパースターになる男の破竹の活躍はそのようにして始まったのだ。

 そこからのジェイはしばらく毎年のようにコンスタントなアルバム・リリースを重ねていくことになる。作曲家や俳優としての顔も持つことを思えば相当なハイペースという他ないが、今回はそれらの作品が(順次)日本盤化されているので、このタイミングでチェックしてみるのもいいだろう。ちなみにいま初作『Jay』を聴いてみると、ミレニアム前後だった当時のトレンドなどを思い起こされる部分もありつつ、最初から多種多様なアレンジの振り幅を用意してさまざまなスタイルの楽曲を披露していたことに気付かされる。当時でいうと主にUSの最先端に位置するヒップホップやR&Bに影響を受けたポップソングはさまざまな国の多くのフィールドで生まれていたものだと思うが、ジェイもその流れに則りつつ、歌謡曲や映画音楽、フォーク、ジャズ、クラシカルなロックなど多種多様なフレイヴァーを織り重ねて、持ち前のセンスで自分自身の音楽性へと確実に取り込んでいるのだ。それは以降のアルバムについても同様だし、このたびのニュー・アルバム『太陽之子』にも脈々と受け継がれている部分だと思う。