(左から)チェ・ウンヒ、キム・ハンジュ、キム・ゴンジェ、キム・チュンチュ

MGMT『Oracular Spectacular』の華やかなサイケデリアと細野晴臣『S・F・X』の東洋思想を通過した独自のフューチャリズムが交互に展開されるような作品があったとして、一体それはどのような姿形をしているのだろうか? インタビューの最中に飛び交った固有名詞を結びつけながら、そんなことをぼんやり考えていた。事実、目の前で朗らかに話す4人の成し遂げた芸当は、およそ一口では説明できないコネクティング・ザ・ドッツを可能にするほどのウルトラCだったのだ。彼らの名前はSilica Gel、そして作品のタイトルは『Ballad of You』だ。

HYUKOHやBalming Tigerといったプロジェクトと共に韓国インディーシーンを代表する存在となったSilica Gel。直近ではジャパニーズ・ブレックファストを招いた“南宮 FEFERE”をリリースし、YouTubeによる次世代アーティスト支援プログラム〈YouTube Foundry 2026〉に選出され、そしてキャリア初となるアジアツアーの開催を控えるなど、彼らはアップカミングなインディーバンドからビッグアーティストへと至る階段を上っている。ここ日本でも昨年のフジロックに出演すると年末には〈THE FIRST TAKE〉へ登場。さらにはTempalayやキタニタツヤといった国内のアーティストと共演し、強靭ながらも繊細なエレクトロニカからの影響を窺わせるバンドサウンドを届けている。

『Ballad of You』には大きく分けて二つのテーゼがある。一つは高い評価を得た『POWER ANDRE 99』でも展開された、SF的想像力によるロックとエレクトロニカの接近。こと本作においては手塚治虫「火の鳥」から着想を得た〈輪廻〉の概念が重要な役割を果たしているのだという。そしてもう一つはライブ鑑賞を通じて得られる満足感。ここで彼らは単なるライブの再現を目指すのではなく、テープレコーダーを用いたアナログ録音やジャンル間を溶け合わせるテクスチャーの探求によって、カタルシスを追求したのだという。

今回はキタニタツヤ企画の対バンライブに出演するため来日した4人に、アルバム『Ballad of You』の制作背景からメンバーそれぞれの役割やルーツ、そしてSilica Gelという共同体を貫くフィロソフィーについて、じっくりと聞いた。

Silica Gel 『Ballad of You』 CAM/AMUSE (Less+)(2026)

 

〈グレイトチーム〉な4人の役割分担

――今回のアルバムはいつから制作していたんですか?

キム・ハンジュ(ボーカル/キーボード)「昨年から曲を書き始めて、本格的なプロダクションに着手したのは今年の初頭です。ビジュアル面にまつわる作業はまだ進行中ですね、近々終わる予定です」

――バンドの舵取りやアイデアを出す役割は基本的にハンジュさんが担っているのでしょうか?

ハンジュ「ケース・バイ・ケースですね。個人的には提案するのが好きなので、みんなに色々頼んじゃうんですけど(笑)。ただ、メンバーの意見に従って僕の提案が変わることも多いですし、最終的には〈Silica Gelの作品〉として完成へと向かっていきます。4人の役割と強みも異なっていますし、毎回面白いペアリングが生まれるんです」

――どのような役割がそれぞれあるのでしょうか?

キム・チュンチュ(ボーカル/ギター)「まず、僕はパソコンの前に座ってレコーディングを進めるのが主な役割です。音に関してあれこれ悩むのが好きなんですよね。

(チェ・)ウンヒはビデオを作ることが得意で、実際にSilica GelのMVも何本か制作しています。そして(キム・)ゴンジェは僕たちが集まるためのスペースを持っているんですよね。そこでセッションをしたり機材を置いたりしている。一つの場所に集まって作品を作る重要性をゴンジェは考えていて、結果的に僕たちへ大きな影響を与えているんです」

チェ・ウンヒ(ベース)「Silica Gelは格好良いビデオが多いので、自分はオルタナティブなものを提示するようにしているんです。だから結果的に不格好で面白いものになる(笑)。ただ、それはバンドにとって必要なものだと思うんです。実際、Silica Gelでの演奏でも自分がオルタナティブな側面を担っているとは思います」

――ウンヒさんのビデオはメンバーからどのように受け止められているのでしょうか?

ハンジュ「まぁ……良いですよね(笑)」

ウンヒ「好きなメンバーもいるし、そうじゃないメンバーもいる(笑)。結果的にはみんな応援してくれるんですよね、〈お前が変なことをするのは分かる、自分でやってみな〉という感じで」

ハンジュ「そんなことないよ、みんな好き! どこかにユーモアがなくちゃね」

ウンヒ「そっか、なら良いけど(笑)」

――ゴンジェさんはスペースを持っているとお聞きしましたが、具体的にどのような場所なのでしょうか?

キム・ゴンジェ(ドラムス)「僕たちは荷物が多いから、柔軟に使える場所が必要なんですよね。なので自分のスペースを収納場所に充てつつ、みんなが集まれるような場所にして。駐車場もあってなんとなく快適なスペースとして、みんなに影響を与えられているとは思います」

――素晴らしいチームですね。グレイトチーム!

ハンジュ「ありがとうございます、グレイトチーム!」

チュンチュ「グレイトチーム! グレイトディレクター、グレイトスペース!」