TOWER VINYL SHIBUYAの5年間でもっとも売れた100枚の中古盤

2021年9月にタワーレコード渋谷店の6階にオープンしたTOWER VINYL SHIBUYA。現在は1フロア全体で新品と中古レコードが展開されており、今年はその一角にTOWER RECORDS BEERがオープン。レコードを掘ったり、音楽を聴きながらビールを飲んだりと、さまざまな体験ができる、まさに〈レコード天国〉な場所として発展を遂げていっている。2024年に大阪にTOWER VINYL UMEDAが、2026年にTOWER VINYL KYOTOがオープンしており、レコードで音楽を聴くこと・所有することが一過性のブームではなく定着したいま、TOWER VINYLブランドの今後の展開にも期待が高まっている。

そんななか、5年間の中古レコード売上ランキング100枚が集計され、Mikiki編集部に届けられた。つまり、TOWER VINYL SHIBUYAでこの5年間にもっとも売れたレコードは何なのかが明らかになったのだ。そこで今回は、そのデータを分析しつつ、どんな傾向などが見えてくるのかを論じてみよう。

100位までの売上は下記のとおり。

1. Michael Jackson『Thriller』
2. 山下達郎『For You』
3. Eagles『Hotel California』
4. The Beatles『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』
5. YMO『SOLID STATE SURVIVOR』
6. The Beatles『Let It Be』
7. The Beatles『Abbey Road』
8. 大滝詠一『A LONG VACATION』
9. The Beatles『1967-1970』
10. 杏里『Timely!!』
11. The Beatles『Help!』
12. Madonna『Like A Virgin』
13. Bruce Springsteen『Born In The U.S.A.』
14. Billy Joel『52nd Street』
15. TOTO『TOTO IV』
16. 高中正義『虹伝説 THE RAINBOW GOBLINS』
17. 荒井由実『ひこうき雲』
18. The Beatles『1962-1966』
19. Pink Floyd『The Dark Side Of The Moon』
20. Michael Jackson『Off The Wall』
21. 安全地帯『安全地帯IV』
22. ABBA『Arrival』
23. 山下達郎『RIDE ON TIME』
24. Led Zeppelin『Led Zeppelin IV』
25. The Beatles『Rubber Soul』
26. The Beatles『A Hard Day’s Night』
27. 山下達郎『MELODIES』
28. 松田聖子『SQUALL』
29. The Beatles『Revolver』
30. Fleetwood Mac『Rumours』
31. The Beatles『The Beatles』
32. YMO『YELLOW MAGIC ORCHESTRA』
33. 安全地帯『安全地帯II』
34. Billy Joel『The Stranger』
35. Led Zeppelin『Led Zeppelin II』
36. Wham!『Make It Big』
37. The Police『Synchronicity』
38. 山下達郎『BIG WAVE』
39. The Beatles『A Collection Of Beatles Oldies』
40. Madonna『True Blue』
41. サザンオールスターズ『10ナンバーズ・からっと』
42. サザンオールスターズ『NUDE MAN』
43. Cyndi Lauper『She’s So Unusual』
44. Sade『Promise』
45. The Beatles『Magical Mystery Tour』
46. Queen『A Day At The Races』
47. Queen『Sheer Heart Attack』
48. 安全地帯『安全地帯III~抱きしめたい』
49. 竹内まりや『VARIETY』
50. Stevie Wonder『Songs In The Key Of Life』
51. 松田聖子『Pineapple』
52. サザンオールスターズ『人気者で行こう』
53. ABBA『Voulez-Vous』
54. Queen『A Night At The Opera』
55. ABBA『Greatest Hits Vol. 2』
56. 大滝詠一『EACH TIME』
57. 山下達郎『MOONGLOW』
58. サザンオールスターズ『KAMAKURA』
59. Carole King『Tapestry』
60. The Beatles『Hey Jude』
61. Queen『News Of The World』
62. 菊池桃子『OCEAN SIDE』
63. 高中正義『T-WAVE』
64. Donald Fagen『The Nightfly』
65. 山下達郎『POCKET MUSIC』
66. 荒井由実『COBALT HOUR』
67. ABBA『The Album』
68. Sade『Diamond Life』
69. 中森明菜『CRIMSON』
70. 荒井由実『MISSLIM』
71. Michael Jackson『Bad』
72. Prince & The Revolution『Purple Rain』
73. Led Zeppelin『Led Zeppelin III』
74. Grover Washington Jr.『Winelight』
75. 寺尾聰『Reflections』
76. Tears For Fears『Songs From The Big Chair』
77. 竹内まりや『LOVE SONGS』
78. Van Halen『1984』
79. Led Zeppelin『Led Zeppelin』
80. Pink Floyd『The Wall』
81. Queen『Jazz』
82. Billy Joel『An Innocent Man』
83. 高中正義『SAUDADE』
84. Bobby Caldwell『Bobby Caldwell』
85. 杏里『COOOL』
86. 杉山清貴&オメガトライブ『ANOTHER SUMMER』
87. 荒井由実『14番目の月』
88. Earth, Wind & Fire『I Am』
89. The Beatles『Please Please Me』
90. Pink Floyd『Atom Heart Mother』
91. Earth, Wind & Fire『All ’N All』
92. 高中正義『JOLLY JIVE』
93. YMO『浮気なぼくら』
94. Eric Clapton『461 Ocean Boulevard』
95. YMO『PUBLIC PRESSURE』
96. サザンオールスターズ『タイニイ・バブルス』
97. Derek And The Dominos『Layla And Other Assorted Love Songs』
98. 高中正義『Alone』
99. 竹内まりや『UNIVERSITY STREET』
100. YMO『BGM』

 

マイケルやザ・ビートルズ、時代を超えて聴き継がれる絶対的名盤

1位は、マイケル・ジャクソン『Thriller』だ。これは納得というか、堂々と王座に就いた説得力しかない。

リリース当時〈一家に一枚〉レベルで売れ、音楽的にも名盤として揺るぎない評価を受けている『Thriller』。近年もApple Musicが史上最高のアルバム100枚の2位に選ぶなど、その評価はほとんど定まっている。そんななか、今年は伝記映画「Michael/マイケル」が日本を含む世界で大ヒット。ドキュメンタリー映画「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」が    2009年に公開されて以来のマイケル再評価の波が到来しており、『Thriller』のレコード需要はさらに高まっている。圧倒的な名盤が1位という当然の結果であり、現在のモードが反映された結果だとも言える。

MICHAEL JACKSON 『Thriller』 Epic(1982)

マイケルのように、英米のポップスが栄華を極めた1980年代のレコードは特に人気だ。マドンナ『Like A Virgin』『True Blue』、ブルース・スプリングスティーン『Born In The U.S.A.』、TOTO『TOTO IV』、ワム!『Make It Big』、ザ・ポリス『Synchronicity』、シンディ・ローパー『She’s So Unusual』、シャーデー『Promise』などなど、突き抜けてポップな作品、あるいは聴き心地がよいウェルメイドな当時の名盤がランクインしている。MTVが全盛期だった80年代は、音楽とビジュアル・映像が一体になった豊かで華やかで洗練された時代でもあった。『Thriller』を含めてジャケットのインパクトも強く、〈盤〉で所有する楽しさや喜びとともにあった時期だからこそ、いまもレコードが求められているのだろう。

MADONNA 『Like A Virgin』 Sire/Warner Bros.(1984)
MADONNA 『True Blue』 Sire/Warner Bros.(1986)
BRUCE SPRINGSTEEN 『Born In The U.S.A.』 Columbia(1984)
WHAM! 『Make It Big』 Epic(1984)
CYNDI LAUPER 『She’s So Unusual』 Portrait(1983)
SADE 『Promise』 Epic(1985)

1980年代だけでなく、LP=アルバムで音楽を聴くレコード文化が爛熟した1970年代の作品も大人気だ。イーグルス『Hotel California』、ビリー・ジョエル『52nd Street』『The Stranger』、ピンク・フロイド『The Dark Side Of The Moon』、アバ『Arrival』、レッド・ツェッペリン『Led Zeppelin IV』、フリート・ウッドマック『Rumours』、クイーン『A Day At The Races』といった定番は、その筆頭だろう。2枚組のLPも多く制作されたこの時期、ひとつのアルバムでトータルな表現をするミュージシャンが増え、それだけレコードの重要性も高まった。また、CD移行期を含む80年代とちがい、アナログ全盛期でもある。そのため、音楽ファンならLPで持っていたいアルバムが多数ランクインしていることは納得だ。

EAGLES 『Hotel California』 Asylum(1976)
BILLY JOEL 『52nd Street』 Columbia(1978)
BILLY JOEL 『The Stranger』 Columbia(1977)
PINK FLOYD 『The Dark Side Of The Moon』 Harvest(1973)
ABBA 『Arrival』 Polar(1976)
LED ZEPPELIN 『Led Zeppelin IV』 Atlantic(1971)
QUEEN 『A Day At The Races』 EMI(1976)

そして、マイケルのような圧倒的王者としてザ・ビートルズが挙げられる。彼らは、100位以内になんと14作品もランクインさせている。今回、60年代の作品はほとんどランクインしていないが、アルバム一枚一枚が名盤であり、〈レコード芸術〉と言うべきトータルな表現を発展させた歴史的な存在であるザ・ビートルズのLP需要がひじょうに高いのは、当然だと感じる。

100枚のデータを見ると、山下達郎が6枚、高中正義とYMOとサザンオールスターズとクイーンが5枚、レッド・ツェッペリンとアバと荒井由実が4枚と、複数枚ランクインしているアーティストは何組かいるが、ザ・ビ-トルズの14枚はそれらを遥かに上回っている(ちなみに、キング・オブ・ポップことマイケルは3枚)。ポップミュージック史に大文字で刻まれたスーパースター、著名アーティストの名盤・定番が並んだランキングだが、解散から50年以上経っても巨大な存在でありつづけているファブ4の〈覇者〉と呼びたいほどの貫禄が漂ってくる結果だ。

 

山下達郎などシティポップから高中正義、安全地帯まで日本のアナログ人気

日本の作品に目を移すと、いまや世界的に知られているシティポップももちろん人気だ。ブーム以降で特に海外で好評を博し、定番化した山下達郎『FOR YOU』は、なんと2位。上述のとおり、山下達郎のアルバムは、100位圏内に6作も入っている。カタログがほとんどサブスク解禁されていない影響も大きいだろうが、タツローはやはりLPで聴きたいアーティストなのだ。

山下達郎 『FOR YOU』 AIR/RVC(1982)

シティポップリバイバルの象徴としては、続いて8位の大滝詠一『A LONG VACATION』、10位の杏里『Timely!!』などが挙げられる。前者は国内で大ヒットしたポップマエストロ大滝による名盤中の名盤。後者は角松敏生が全編プロデュース、アニメ「キャッツ♥アイ」の主題歌“CAT’S EYE”が収録されており、杏里が大衆的な人気を得たアルバム。いずれも、国内ではリリース当時ヒットした作品だ。ただ、『ロンバケ』こと『A LONG VACATION』は、音楽的にはAOR、R&B/ソウル、フュージョンといった再評価以降のシティポップを構成する要素が薄い。しかし、永井博のアートワークはまさにシティポップそのものだ。一方、『Timely!!』は、音楽性もジャケットもブーム以降のシティポップを象徴する作品。海外のファンもシティポップを再発見した日本のリスナーも手に入れたい定番だと言える。

大滝詠一 『A LONG VACATION』 ナイアガラ/ソニー(1981)
杏里 『Timely!!』 フォーライフ(1983)

そんなシティポップのリバイバルから派生し、いわゆる和ジャズの再評価という下地もあり、いまYouTubeやTikTok経由で日本のフュージョンが再評価されていることはよく知られている。なかでもCASIOPEA、SPECTRUM、菊地ひみこの作品が人気を得たが、シティポップにおける山下達郎のような象徴的な存在は、Jフュージョンにおいては高中正義だろう。欧米でのライブの人気と熱気は既報のとおりで、Z世代を含む若者が熱狂しており、高中のLPはインバウンド需要がかなり高い。それもあって、100位以内には『虹伝説 THE RAINBOW GOBLINS』『T-WAVE』『SAUDADE』『JOLLY JIVE』『alone』の5枚がランクインしている。

高中正義 『虹伝説 THE RAINBOW GOBLINS』 キティ(1981)
高中正義 『T-WAVE』 キティ(1980)
高中正義 『SAUDADE』 キティ(1982)
高中正義 『JOLLY JIVE』 キティ(1979)
高中正義 『alone』 キティ(1981)

高中は、サディスティック・ミカ・バンドの元メンバーで、ロックシーンで知られていたところからインストのフュージョン/クロスオーバーの世界で名を馳せた才能だ。ジャズ畑のプレイヤーのテクニック志向とは一線を画す〈ギターで歌う〉メロディアスな演奏、その歌心が、現代の若者にも親しみやすく響いている面がある。それに、ベスト盤『ALL OF ME』のスカイダイビングジャケットが人気になったことが象徴的だが、リゾート感が充満した高中のアルバムはどれもジャケットのインパクトが絶大。盤の需要の高さには納得できる。

歌心という点では、『安全地帯IV』『安全地帯II』『安全地帯III〜抱きしめたい』の3枚がランクインした安全地帯も見逃せない。ボーカリストの玉置浩二とギタリストの武沢豊を中心にしたロックバンド安全地帯は、ブレイクした80年代から現在に至るまで、日本で絶大な人気を誇っている。同時に、香港・台湾・韓国で人気を築き、それを追い風に、各地でたびたびライブをおこなってきたバンドでもある。日本や欧米ではなく、アジアで人気を広げている近年のJ-POPアーティストの先駆なのだ。そんな歴史に裏打ちされた東アジアでの知名度の高さは、現在のレコードブームにも確実に影響している。

安全地帯 『安全地帯IV』 キティ(1985)
安全地帯 『安全地帯II』 キティ(1984)
安全地帯 『安全地帯III~抱きしめたい』 キティ(1984)

また、YMOは、『SOLID STATE SURVIVOR』『YELLOW MAGIC ORCHESTRA』『浮気なぼくら』『BGM』が順にランクイン。細野晴臣・高橋幸宏・坂本龍一のトリオは、3人ともそれぞれソロで代表作と言えるものがあり、活動は多岐にわたっている。しかし、1970年代末から1980年代の日本において、音楽を超えてカルチャー全体に多大な影響を及ぼしたYMOの作品群は、やはり特別だ。時代を規定し、多くの人を感化したバンドであるYMOは、もともと海外でも活動してきたので、インバウンド需要を含めてレコードが求められていることには納得だ。海外では近年、細野作品の再評価が進んでおり、その影響もあるかもしれない。

YMO 『SOLID STATE SURVIVOR』 アルファ(1979)
YMO 『YELLOW MAGIC ORCHESTRA』 アルファ(1978)
YMO 『浮気なぼくら』 ソニー(1983)
YMO 『BGM』 ソニー(1981)

 

ザ・ポリスやフリートウッド・マックの再ヒットを生む映画やドラマ、TikTok

シティポップのように過去の音楽が再発見・再評価される回路は、ますます太くなっている。そのひとつのきっかけとして大きいのが、映画やドラマでの使用だ。本編や予告編で過去の名曲、知られざる楽曲がうまく使われることで、使用された曲が突然チャートインする、といったリバイバルの形式が定着している。時代や文脈を超えて突如リバイバルするこの現象は、〈音楽のタイムリープ〉とでも言えそうだ。

「ボヘミアン・ラプソディ」から「Michael/マイケル」に連なる一連の伝記映画ブームがレコードへの呼び水になっている一方、別の経路もある。たとえば、Netflixのオリジナルドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」では、ケイト・ブッシュの1985年の曲“Running Up That Hill”が劇中で使用され、37年越しに全英1位を獲得するなど、世界のチャートに入って話題になった。今回のランキングではTOTO“Africa”、ザ・ポリス“Every Breath You Take”という名曲中の名曲が収録されたアルバムがそれぞれランクインしているが、いずれも「ストレンジャー・シングス」で使用されていた。近年の映画やTVシリーズと音楽の関係が反映された結果が、このランキングから見えてくるのだ。それと、今年の話題作だった映画「マーティ・シュプリーム 世界をつかめ」でティアーズ・フォー・フィアーズ“Everybody Wants To Rule The World”が象徴的に使われており、『Songs From The Big Chair』のランクインにはつながりを見出せる。

TOTO 『TOTO IV』 Columbia(1982)
THE POLICE 『Synchronicity』 A&M(1983)
TEARS FOR FEARS 『Songs From The Big Chair』 Mercury/Phonogram(1985)

また、30位のフリートウッド・マック『Rumours』にも注目したい。大ヒット作であり、大名盤でもあるが、スティーヴィー・ニックスが歌う“Dreams”がA面2曲目に収録されている。この曲は、2020年にネイサン・アポダカという男性がスケートをするTikTok動画に使用したことでバイラルヒットが引き起こされた。動画の拡散から、“Dreams”をショート動画に使用するブームも起こり、曲自体が人気になり、チャートインもしている。そんな新たな音楽再発見の回路も、今回のレコードランキングからは透けて見える。

FLEETWOOD MAC 『Rumours』 Warner Bros.(1977)

 

過去の名盤を次世代リスナーに手渡しする中古レコード

以上、TOWER VINYL SHIBUYAの5年間の中古盤ランキングを分析してきた。コロナ禍からコロナ禍明けの時代を含む2021~2026年は、上述したショート動画の一般化など、音楽やレコードのあり方も変化した時期だった。過去の名盤・定番が並ぶランキングだが、そういった時代性も大きく反映されていることがわかる。

ちなみに、TOWER VINYLの高価買取リストの最新版である秋・冬版が公開されたばかり。中古盤の売買や流通は名盤を次の世代の聴き手へとつなぐ回路でもあり、TOWER VINYLはその現場だ。ぜひあなたが持つレコードというバトンをTOWER VINYLを通じてまだ見ぬリスナーに手渡してほしい。

 


INFORMATION
レコード高価買取リスト 2026年秋・冬版

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タワーレコードのレコード・CD買取サービス
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TOWER VINYL SHIBUYA
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