大阪を拠点に活動し、ネオアコやギター・ポップ、ジャズ、ラウンジなどを独自にミックスした〈ネオネオアコ〉とみずから標榜する音楽性が支持を集めている4人組、Nagakumo。ギタリストでソングライターを務めるオオニシレイジが、以前からミュージシャン仲間だったベーシストのオオムラテッペイとドラマーのホウダソウ、さらにシンガー・ソングライターとして活動していたコモノサヤに声を掛け、2020年頃に結成された。

 「僕の考える最強メンバーを誘いました」(オオニシレイジ)。

 「Nagakumoが始まる少し前、私は曲のアレンジをレイジに手伝ってもらったんです。その編曲のお礼に〈ご飯おごるよ〉とお寿司屋さんに行ったんですが、そこで〈バンドしない?〉って言われて(笑)」(コモノサヤ)。

 ときはコロナ禍の最中。ライヴを行うのが難しい状況だったバンドはまず楽曲制作を進め、2021年2月に『PLAN e.p.』を発表。その後も2022年の『EXPO』、2023年の『JUNE e.p.』とEPのリリースを重ね、徐々にインディー・ポップ界隈での認知度を高めていく。

 「私たちのことに早くから気付いてくれたのは、それこそフリッパーズ・ギターとかをめっちゃ追いかけていたような、渋谷系や80年代のネオアコにリアルタイムで夢中になっていた人たちだと思います。そこでいろいろな繋がりができて、ライヴのオファーをくれたり、フェスに出演させてもらったり」(コモノ)。

 自身のアルバム『BEING PURE AT HEART~ありのままでいいんじゃない』(2024年)にギタリストとしてオオニシを招いたカジヒデキもその一人だろう。また、オオニシはNegiccoやNao☆に楽曲提供を行い、それらはNagakumoが編曲/一部演奏を担うなど、バンドの活動規模は着実に広がっていった。

 そして、「制作期間は3年半」とオオニシが語るのが、このたびついに完成したファースト・アルバム『NGKM』だ。2024年から2025年に配信で発表してきた5曲を含む14曲が収録された本作では、端正な音作りに、鮮やかな色味を加えるアイデアと可憐ながらも凛とした歌声が軽やかに響き合い、独創的なポップソングを生み出している。

 「Nagakumoは生の演奏が魅力のバンドだと思うんです。なので、アルバムは4人でステージに立っている空気感が出ることをめざしました」(オオニシ)。

Nagakumo 『NGKM』 Nagakumo/SECOND ROYAL(2026)

 ボサノヴァのリズムとパパパ・コーラスを重ねたプレリュード的な表題曲で幕を開ける『NGKM』。ドラムンベースから借用したリズムが躍動する“Supermoon”、ドクター・バザーズ・オリジナル・サヴァンナ・バンド的なスウィング感が賑やかな“コートを着て”、初期のOriginal Loveを思わせる制御不能寸前なパワーに溢れた“贅沢な週末を”、アーシーなグランジ調の“Question”など、粒の立った楽曲を揃えた。

 「“Supermoon”はいちばん作り込んだ楽曲かもしれない。レイジの描いていたアルバムの世界観にメンバーがコミットしながら完成させました」(コモノ)。

 「あの曲は明確にリード・トラックを作るという意識でした。“Question”は、リフの繰り返しでポップなものを作るという挑戦。複雑な音楽ほど評価されやすい印象をなんとなく持っていて、そうした風潮への反発もあり」(オオニシ)。

 一曲ごとにさまざまな音楽的要素が盛り込まれているため、通して聴いたあとの満腹感はかなりのもの。『NGKM』は、Nagakumoというバンドの美学をリスナーの耳に濃く刻印する一枚だ。

 「アルバムに一貫性を持たせることを意識したので、これでも楽曲の幅は狭くしたつもりなんです。いまはいくらでも音楽を聴ける時代ですけど、〈Nagakumoを聴きたいときに『NGKM』を聴いてくれ〉といえる作品にしたかった」(オオニシ)。

 「ほぼセルフ・タイトルの作品にもかかわらず、私は〈これがNagakumoだ〉みたいな気持ちはあんまりなくて。次はまた違うことをやっている気がするし、そういう期待感がありますね」(コモノ)

 


Nagakumo
コモノサヤ(ヴォーカル)、オオニシレイジ(ギター)、 オオムラテッペイ(ベース)、ホウダソウ(ドラムス)から成る4人組バンド。2021年1月1日に活動を始め、同年2月リリースのファーストEP『PLAN e.p.』が高く評価される。2022年3月にセカンドEP『EXPO』、2023年8月にサードEP『JUNE e.p.』を発表。〈CIRCLE〉〈ONE MUSIC CAMP〉といったフェスへの出演などでも知名度を上げるなか、8月26日にファースト・アルバム『NGKM』(Nagakumo)をリリースする。