待望のソロアルバムに込めた人への優しさと音楽への情熱
オーケストラ・アンサンブル金沢との共演がひとつのきっかけとなり、TSUKEMENのヴァイオリニストTAIRIKは、初のソロアルバムに挑んだ。当初はクラシック、映画、アニメ、ゲームの音楽などあらゆる方向が視野にあった。
「悩みました(笑)。そのなかで自分の世界観として表現できるものはオリジナル楽曲だと思って……」
それがTSUKEMENの楽曲を再レコーディングした理由だが、悩みは尽きなかった。
「何か月か、何十曲もの候補曲を前にこれも捨てがたいと迷うなか、何か統括出来るものがないかと考えるなか、降りてきたのが“Mother”という曲でした」
アルバム・タイトルにもなった新曲“Mother”は、まるで母の胸に抱かれるような慈愛に満ちた曲で、「母が子に向ける無償の愛の尊さ」がインスピレーションとなった。そして、この曲が起点となり、「こんな不安定な時代だからこそ、リスナーに寄り添い、時には鼓舞するような曲を選んでいくことにしました」という。
アルバムは“風の記憶”から始まり、彼が作曲または共作した曲に加えて、TSUKEMENのメンバーSUGURUとKENTAが彼のために書いた“旋律の彼方へ”も収録。
「2026年版じゃないですが、どの曲もアレンジを変えて、ブラッシュ・アップしているので、以前からTSUKEMENを聴いてきた人も楽しめるようになっています」
レコーディングは「回数を重ねるより、ベストを尽くした数回のなかで、新鮮な感情と深いところまでいく表現を両立させるのが難しい」と思うなか、「今回は今までにない風が吹いた」という。
そのレコーディングでパートナーになったのが佐藤卓史。2022年に長野芸術館の企画で行ったヴィオラ・リサイタルで組んで以来、リスペクトするピアニストだ。
「ピアニッシモの神々しいまでの美しさを出せる人こそ超一流という思いが僕の中にあるんですが、レコーディングでの佐藤さんのピアノは、神が降りていたね、とみんなで言い合うくらい美しくて。東日本大震災後にレクイエムとして書いた“天の階”の表現も深く。一方で、“ROCK VIOLA”になると、ノリノリで、嬉々として演奏してくれるんです。断られるまで佐藤さんには毎年お願いしたいと思っています(笑)」
最後の「毎年」とはヴァイオリン&ヴィオラ2刀流のソロ・リサイタルのこと。個の力を高めたいとの思いもあって、十年は続けていくつもりで、初ソロ・アルバムは、その決意を象徴するものでもある。
LIVE INFORMATION
Your Favorite CLASSIC+
2026年11月22日(日)兵庫・西宮 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
開場/開演:13:00/13:30
2026年11月23日(月・祝)愛知・名古屋 今池ガスホール
開場/開演:13:30/14:00
2026年12月15日(火)東京・渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
開場/開演:17:45/18:30
