©Alex Lake

リスナーのメッセージから生まれた、1日24時間をテーマにしたピースフルなアルバム

 自身の音楽を2つのルーツへのオマージュを込めて、クラシカル・ソウルと呼ぶUK出身の人気コンポーザー・ピアニスト。アルバム制作ではいつもテーマを重視して、ふさわしいものが見つかるまで熟考を重ねると聞いた。

ALEXIS FFRENCH 『24』 Sony Classical/ソニー(2026)

 今回は早朝、深夜と時間を問わず、場所も空港や病院と非日常の空間を含めて、さまざまなところから送られてくるリスナーのメッセージがアイディアの発端となった。アレクシス・フレンチは、彼らの声を〈心の交響曲〉と呼び、1日24時間をテーマにアルバムを作り始めた。

 キラキラと音の粒が輝くピアノから始まる“グッド・モーニング”で幕を開け、24曲+ボーナストラックで構成されている。つまり1曲ごとに1時間を奏でているわけだ。とは言っても、時間を特定していないので、“グッド・モーニング”だって、その人が目覚めた時が朝なのだろう。

 このあいさつから始まり、②“ホエア・ザ・サンライズ・ファインズ・ミー”や⑥“ア・モーメント・オブ・カーム”など、想像力を掻き立てるようなタイトルも素敵で、もともとストーリーテリングなピアノを紡ぐ人ではあるけれど、さらに時間旅行に誘ってくれるような曲が続く。

 ソロ・ピアノの曲が中心だけれど、曲によってストリングスが加わったり、微かにドラムの音が聴こえてきたり。その変化も旅の途中のほどよい刺激になってくる。

 そのなかで、編成のマジックなのか。4曲目の“コーヒー・ソングス”のリプライズが夜の時間帯になる21曲目に“コーヒー・ドリームス”として登場するのだけれど、アップライトのピアノのくぐもったような音が温かく緊張がほぐれるのと同時に、デジャヴの世界に迷い込んだような不思議な感覚も体験できる。

 そして、24時間の終わりが“ビフォー・ザ・ワールド・シングス”という曲。そうか、世界は目覚めとともに歌い始めるのか。そんな思いと共に、最後はピースフルな気持ちで幕を閉じることができる。