阪田知樹のオール・リスト・アルバム――節目の年に挑む〈原点回帰〉
2016年にフランツ・リスト国際ピアノコンクールで優勝し、2021年にはエリザベート王妃国際音楽コンクールピアノ部門で第4位に入賞したピアニスト、阪田知樹。近年は作曲家、指揮者としても活躍し、あらゆる面で卓越した音楽家〈ミュジシャン・コンプレ〉を体現する存在だ。そんな阪田が、レパートリーの核となっているリスト作品を集めたディスクをリリースする。
「リスト国際コンクールの優勝から10年、そしてデビュー15周年となります。そこで〈原点回帰〉というつもりで、近年はリストの作品を集中的に演奏していました。今回のアルバムはその集大成となるものです」
選曲は、リストをよく知る人にも、初めて触れる人にも楽しめるようにという想いで行われた。
「リストは長い生涯の中で作風が大きく変化した作曲家なので、とても幅広いスタイルを持っています。“ラ・カンパネッラ”や“愛の夢第3番”などの有名曲で安心感を持っていただきつつ、“忘れられたワルツ”といった晩年の作品も取り入れたのは、リストの新しい側面を知るきっかけになればと思ったからです」
アルバムは“ラ・カンパネッラ”で始まり、同曲のさらに演奏至難なバージョンで終わる構成だ。
「フィジカルのCDが大好きなので、通して聴いたときにストーリー性を感じていただけるようにしたいと思い、このような並びにしました。また、実は弾いてきた年数は別バージョンの方が長く、私のリスト歴の〈原点〉ともいえる作品なのです」
収録曲には、特に思い入れの強い楽曲も含まれている。
「“ハンガリー狂詩曲第12番”は、リストがハンガリー人としての自負を強く示した作品で、“ピアノソナタ ロ短調”は世界各地で演奏してきた、私にとって特別な曲です。30分の曲が体感30秒に感じるほど、身体の一部になっています」
阪田とリストとの出会いは、中学校2年生のときに遡る。
「最初は彼の音楽をよく理解できませんでした。ただ、それをきっかけに徹底的に調べ、作品を集めて弾き込むようになりました。もともとコレクター気質なので、気になると徹底的に集めてしまうんですよね」
阪田の作品への深い愛情、そして幅広いレパートリーと活動はすべて、この強い探究心から生まれている。節目の年に完成した今回のアルバムは、阪田の音楽人生とリストへの敬意が結実した一枚と言えるだろう。
LIVE INFORMATION
阪田知樹 ピアノ・リサイタル
2026年11月10日(火)東京オペラシティ コンサートホール
開場/開演:18:20/19:00
■プログラム
リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調、V. ベッリーニの歌劇「ノルマ」の回想 ほか
10月~11月には宇部、藍住町、福岡、山梨、多治見、大阪でもリサイタルを開催予定。
https://www.japanarts.co.jp/concert/p2230/
EVENT INFORMATION
タワーレコード渋谷店にてインストア・イヴェント開催決定!
2026年11月14日(土)東京 タワーレコード渋谷店
開演:12:00
https://towershibuya.jp/2026/11/14/234284
