〈野村家三代〉の狂言から珠玉のソリスト、室内楽、外来オーケストラまで多彩
――文京シビックホールのリニューアルオープン

 2000年にオープンした文京シビックホール(東京・後楽園の文京シビックセンター内の施設で、正式名称は〈響きの森文京公会堂〉)が20年数年ぶりの大改修を終えた。2022年10月、ひと足先にリニューアルオープンした小ホールでは、デビュー60周年を迎えたヴァイオリンのレジェンド、前橋汀子と松本和将(ピアノ)のデュオが〈完売御礼〉と幸先の良いスタートを切った。2023年1月26日、大ホールのリニューアルオープンは野村万作、萬斎、裕基による〈狂言三代の夕べ〉。野村萬斎の巧みな解説に導かれ、古典芸能の原点とされ、五穀豊穣を願う祝祭的な作品である「三番叟(さんばそう)」、大名が靱(うつぼ)の皮にするため、猿ひきに猿を要求するが、猿の無心な様に心を打たれて許し、猿ひきはお礼として猿を舞わせる「靱猿」の2演目を堪能する趣向だ。

 以後の演目を1)大ホール、2)小ホールの順に駆け足で紹介してみよう:

 


大ホール

2023年2月11日
「BUNKYO SIENA POPS 2023 わが青春のポピュラーミュージック!〈Part.4〉」

ホールとシエナ・ウインド・オーケストラによるオリジナル企画の4回目。藤岡幸夫の指揮、須川展也のサクソフォン、中野翔太のピアノを交え、前半に映画音楽、後半にラテンの名曲を特集する。ナビゲーターは朝岡聡。

3月3日
「夜クラシック 大ホールリニューアル記念公演」

1ピアニストの域を遥かに超えた山田武彦のアイデア、軽妙なトーク満載のフライデー・ナイト。上野星矢のフルート、奥村愛のヴァイオリン、笹沼樹のチェロと、共演者もゴージャスな顔ぶれ。

3月7日
「レ・ヴァン・フランセ」

©Nicolas Tavernier

エマニュエル・パユ(フルート)、フランソワ・ルルー(オーボエ)、ポール・メイエ(クラリネット)、ラトヴァン・ヴラトコヴィチ(ホルン)、エリック・ル・サージュ(ピアノ)と名前だけ並べても、素敵な音楽が聴こえてきそうなスーパー・アンサンブルの妙技。

3月12日
「文京区民オペラ チッタディーノ歌劇団 プッチーニ作曲 歌劇『ラ・ボエーム』」

オーディションで選ばれた気鋭の声楽家と区民参加の合唱団による上演。コロナ禍で2年延期され、ようやく実現に至った。

4月15日
「新沢としひこ&ケロポンズ ファミリーコンサート」

シンガーソングライターで絵本・児童文学作家の新沢と、子ども向け〈あそびうた〉の作詞作曲と体操を創作するユニットのケロポンズの共演。

4月23日
「中野翔太・金子三勇士・山中惇史 トリプルピアノ」

アメリカ仕込みの中野、ハンガリーと日本にルーツを持つ金子、作編曲も巧みにこなす山中……と、持ち味を異にする3人のピアニストが交わり、放たれるケミストリー(化学反応)に期待。

5月14日
「オーケストラ・アンサンブル金沢 in Bunkyo 2023」

ホールの20周年記念事業にも登場したオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)2度目の来演。名古屋フィルハーモニー交響楽団次期音楽監督に内定した川瀬賢太郎の指揮でベートーヴェンの“交響曲第8番”、大谷康子(ヴァイオリン)を迎えてヴィヴァルディ“合奏協奏曲《四季》”から“春”と“夏”、阪田知樹のソロでショパン“ピアノ協奏曲第1番”と名曲ぞろいだが、ありそうでなかった不思議な組み合わせだ。

5月24日
「ヴァシリー・ペトレンコ指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 ピアノ:辻井伸行」

辻井の文京シビック登場は4年ぶり2度目。ベルリン・フィル首席指揮者のキリルと並ぶ〈もう1人のペトレンコ〉、ヴァシリーはロシア人だが、ウクライナ侵攻に抗議して英国にとどまり、ロンドン5大オーケストラの一角、ロイヤル・フィルを今後の本拠とする意思をいち早く表示した。辻井独奏のラフマニノフ“ピアノ協奏曲第3番”、チャイコフスキーの“交響曲第6番《悲愴》”の濃厚ロシアン・プログラム。

6月4日
「伝統芸能 石見(いわみ)神楽公演」

島根県西部の石見地域に伝わる民俗芸能の公演。文京区が島根県津和野町と文化振興等の協定を結んでいる縁に基づく。

6月16日
「文京シビックホールリニューアル×小曽根 真デビュー40周年記念 小曽根 真スペシャルライブ」

©Kazuyoshi Shimomura

2021年の還暦記念に続き、2023年のデビュー40周年のアーティストと、リニューアルしたホールのダブル・アニバーサリーの記念公演になる。

6月28日
「山田和樹指揮 バーミンガム市交響楽団 ピアノ:チョ・ソンジン」

ベルリン在住の山田はバーミンガム市響(CBSO)の首席客演指揮者を2018/2019シーズンから務め、2023年4月には首席指揮者兼アーティスティックアドバイザーへ昇任する。早くも2022年夏、ロンドン・ロイヤルアルバートホールのBBC(英国放送協会)プロムナードコンサート(プロムス)にCBSOと出演、ラフマニノフ“交響曲第2番”を指揮して喝采を浴びた。同じ曲が文京区で聴ける。2015年ショパン国際コンクール優勝者のチョは近年、ウィーン・フィルやベルリン・フィルとの共演でも成功を収め〈若い巨匠〉の道を着実に歩んでおり、ショパンの“協奏曲第2番”は聴きものだ。

 


小ホール(2023年分)

2023年2月18日
「荘村清志×武満 徹」

©Hiromichi NOZAWA

武満にギター曲を最初に〈書かせた〉名手を中心に。作曲家のお嬢さん、武満真樹のトークを交えて。

2023年3月21日
「文京シビックに“鼓童”がやってくる! ぶんきょう交流公演」

3年ぶりの開催。和太鼓の迫力を間近で体感できる人気公演。

2023年3月23日
「ラ・クァルティーナ in Bunkyo 2023」

©Norikatsu Aida

藤森亮一、藤村俊介、銅銀久弥、桑田歩からなる現&元のNHK交響楽団のチェロ4人衆。

2023年4月15日・16日 、5月6日・7日
「文の京(ふみのみやこ)リーディングドラマ 文豪たちのことば~文学作品×朗読×演劇~」

山本卓卓が太宰治の「富嶽百景」、田上豊が夏目漱石の「三四郎」、島貴之が泉鏡花の「露宿」をリーディングドラマにするオリジナル企画。

 


LIVE INFORMATION
リニューアル記念公演ラインアップ

響きの森きっずプログラム
フルーツの国のおんがくパーティー♪ ~サンタの国からこんにちは!!~

2022年12月24日(土)・25日(日)
出演:瀧本 瞳/シエナ☆フルーツ音楽隊(演奏) ほか

〈文京シビック寄席〉春風亭一之輔独演会
2023年1月7日(土)【完売御礼】
出演:春風亭一之輔 ほか

野村万作・萬斎・裕基  狂言三代の夕べ
2023年1月26日(木)
出演:野村万作/野村萬斎/野村裕基/万作の会メンバー

BUNKYO SIENA POPS 2023
わが青春のポピュラーミュージック!〈Part.4〉

2023年2月11日(土・祝)
出演:藤岡幸夫/須川展也/中野翔太/シエナ・ウインド・オーケストラ/朝岡聡

荘村清志×武満徹
2023年2月18日(土)
出演:荘村清志/横村福音/斎藤和志/武満真樹

夜クラシック 大ホールリニューアル記念公演
2023年3月3日(金)
出演:山田武彦/上野星矢/奥村愛/笹沼樹

レ・ヴァン・フランセ
2023年3月7日(火)
出演:エマニュエル・パユ/フランソワ・ルルー/ポール・メイエ/ラドヴァン・ヴラトコヴィチ/エリック・ル・サージュ

プッチーニ作曲 歌劇『ラ・ボエーム』(原語上演・字幕付)
2023年3月12日(日)
出演:CITTADINO 歌劇団合唱団/CITTADINO 歌劇団オーケストラ ほか

文京シビックに”鼓童”がやってくる! 鼓童ぶんきょう交流公演
2023年3月21日(火・祝)
出演:太鼓芸能集団 鼓童

ラ・クァルティーナ in Bunkyo 2023
2023年3月23日(木)
出演:藤森亮一/藤村俊介/銅銀久弥/桑田歩

新沢としひこ&ケロポンズ ファミリーコンサート
2023年4月15日(土)
出演:新沢としひこ/ケロポンズ

文の京(ふみのみやこ)リーディングドラマ
文豪たちのことば ~文学作品×朗読×演劇~

2023年4月15日(土)・16日(日)、5月6日(土)・7日(日)
演目:太宰 治「富嶽百景」/山本卓卓、夏目漱石「三四郎」/田上 豊、泉 鏡花「露宿」/島 貴之

中野翔太・金子三勇士・山中惇史 トリプルピアノ
2023年4月23日(日)
出演:中野翔太/金子三勇士/山中惇史

オーケストラ・アンサンブル金沢 in Bunkyo 2023
2023年5月14日(日)
出演:川瀬賢太郎/大谷康子/阪田知樹/オーケストラ・アンサンブル金沢

セキスイハイム presents
ヴァシリー・ペトレンコ指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

2023年5月24日(水)【2022年12月18日(日)発売】
ピアノ:辻井伸行
出演:ヴァシリー・ペトレンコ/辻井伸行/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

伝統芸能 石見神楽公演
2023年6月4日(日)
出演:津和野町石見神楽神星会

文京シビックホールリニューアル×小曽根 真デビュー40周年記念
小曽根 真 スペシャルライブ

2023年6月16日(金)【2022年12月18日(日)発売】
出演:小曽根 真 ほか

山田和樹 指揮 バーミンガム市交響楽団
2023年6月28日(水)【2022年12月18日(日)発売】
ピアノ:チョ・ソンジン
出演:山田和樹/チョ・ソンジン/バーミンガム市交響楽団

■チケット
シビックチケット:03-5803-1111(10時~19時/土・日・祝休日も受付。ただし2022年12月28日~2023年1月4日、2023年5月21日は休業)
・未就学児の入場はご遠慮ください(一部公演を除く)。
・公演の内容・出演者・料金・発売日等は一部変更となる場合がございます。
・ご予約後の変更、キャンセルはお受けできません。
・公演中止を除き、ご入金後の払い戻しはいたしません。予めご了承ください。

■お問い合わせ
公益財団法人 文京アカデミー ホール事業係:03-5803-1103(平日9時~17時)

■文京シビックホール
https://www.b-academy.jp/hall/
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