ジョン・ケージから「スターウォーズ」とその元ネタまで、アメリカ音楽尽くし!
40代でも若手と呼ばれてしまう指揮者業界において、21歳の頃に東京国際音楽コンクール〈指揮〉で第2位を獲得。今年4月より若干25歳で大阪交響楽団の正指揮者に就任する太田弦こそ、いま最も注目すべき日本人指揮者であろう(普通の若手であれば、副指揮者に就く年齢だ!)。そんな太田が神奈川フィルを率いて、これまた国際コンクールで優勝しているピアニスト阪田知樹、チェリスト佐藤晴真という気鋭のソリストと共に、ジョン・ケージの《4分33秒》を含む(!?)意欲的なアメリカ音楽プログラムをお送りする。
アメリカン・クラシックの頂点を築いたコープランドによるカウボーイを題材にした「ロデオ」に、オバマ大統領の就任式でも演奏された聖歌《シンプル・ソング》に基づくバレエ音楽(アメリカのクラシックを代表する超名曲!)。更にはライト・クラシック(軽音楽)の巨匠ルロイ・アンダーソンによる誰もが思わずニヤッとしてしまう小品に、ケージによる何も演奏しない究極の音楽《4分33秒》までと、アメリカ人作曲家による多様な音楽がプログラムに並ぶ。
そこに移民の国アメリカを語る上ではやっぱり外せない、外から新世界に訪れた作曲家の作品も加わる。ロシア革命を逃れてアメリカへやって来るも、なかなか作品が書けなかったラフマニノフ。そんな彼が手がけた亡命後の数少ない名曲に、ハリウッドの映画音楽の基礎を築いたコルンゴルトによる《嵐の青春》……実はこの曲、スターウォーズの元ネタで、メロディラインの始まりが完全に一致する! もちろんジョン・ウィリアムズによるスターウォーズの「メイン・タイトル」も実際に演奏されるし、更には一部マニアから熱烈な支持を受ける名曲ながらも実演ではまずお耳にかかれない《アステロイド・フィールド》(エピソード5「帝国の逆襲」において、ミレニアムファルコンで小惑星のあいだを抜けながら帝国軍から逃げ回る緊迫感あふれる場面の音楽)も演奏される。映画ファンはこの貴重な機会をお聴き逃しなく!
ラストを飾るのは、アメリカで最初に生まれたクラシックの名曲といっても過言ではないドヴォルザークのチェロ協奏曲と新世界交響曲。普段はクラシックを聴かないビギナーからクラシックオタクまで、アメリカ文化に興味がある方なら、どんな人でも楽しめる最高の演奏会になること間違いなしだ!
加えて、5月からの新元号を迎えるこのタイミングでジョン・ウィリアムズの《雅の鐘》が取り上げられることにもご注目を。曲名の〈雅〉は雅子妃のお名前から取られていることからも分かるように皇太子殿下との結婚の儀に際して書かれた楽曲なのだから。
LIVE INFORMATION
アメリカ~新世界で生まれ育ち、移りゆく音楽達~
○4/20(土)14:20開場/15:00開演
会場:神奈川県民ホール
【出演】太田弦(指揮)阪田知樹(p)佐藤晴真(vc)神奈川フィルハーモニー管弦楽団
【曲目】コープランド:「ロデオ」より“カウボーイの休日”/バレエ音楽「アパラチアの春」より“シンプル・ギフト”
アンダーソン:タイプライター/マクドナルドじいさんは農場をもっていた
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲(抜粋)
J.ウィリアムズ:雅の鐘
コルンゴルト:映画「嵐の青春」
J.ウィリアムズ:映画「スターウォーズ」よりメインタイトル、アステロイド・フィールド
ジョン・ケージ:4分33秒
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲ロ短調Op.104より第1楽章/交響曲第9番ホ短調Op.95「新世界より」より第4楽章