ワーナー移籍の報にも驚いたが、クインシー・ジョーンズが3曲プロデュースしていることにもビックリ。そんな本作はピアフ、エラ、シナトラらの名曲を歌ったカヴァー集だ。シャンソンやスウィングを彼女らしい奔放さで聴かせているが、クインシーのビッグバンドをバックに主役とニッキー・ヤノフスキーがスキャットで掛け合いを聴かせる“I Love Paris”が何といっても出色。何をやってもザーズは素晴らしい!
鼓膜に心に記憶に、焼き付くように強烈に残る歌声。あらためて〈ザーズ〉という存在の特別さに感動的なまでに打ちのめされた第三作シャンソン・カヴァー集。言語の壁を超え様々な物語を聴き手に描かせる熱唱をサックスやアコーディオン、オーケストラ等がさらにドラマチックに盛りたて感極まって泣いてしまいそうだ。とくに誰しもが知る名曲《オー・シャンゼリゼ》はスピーカーに向かいスタンディングオベーションしてしまってもなんら不思議ではない。楽曲はピアフやイブ・モンタンからシャンソンを愛したフランク・シナトラまで。クインシー・ジョーンズがプロデューサーとして参加している点も注目。