インタビュー

ドイツ本流の巨匠への階段を駆け上がるチェロ奏者、ダニエル・ミュラー=ショットが語る近作の魅力

ドイツ本流の巨匠への階段を駆け上がるチェロ奏者、ダニエル・ミュラー=ショットが語る近作の魅力

創意溢れる録音の数々、夢は2020年にJ.S.バッハの無伴奏を全曲録音

 もはや若手ではない。しかも中堅を一足飛びで、早々とドイツ本流の巨匠の階段へ。

 シフイッサーリスロストロポーヴィチの3巨匠から薫陶を受けたダニエル・ミュラー=ショットの近年の活動に対する筆者の率直な印象だ。そして今回、彼にインタヴューをし、1月に行われた一連の公演を聴く中で、そうした予想や期待が事実であることをはっきりと確信した。端正な語り口と艶やかな気概を備えた解釈によって、彼はあらゆる作品とフレーズをかつてないほど魅力的に聴かせてくれたのだから。

DANIEL MULLER-SCHOTT Dvorak:The Cello Works Orfeo(2014)

 知られざる作品やレパートリーの拡充にも力を入れるミュラー=ショットは、録音にも積極的。最新盤は2014年のドヴォルザーク没後110年を記念した作品集だ。有名なチェロ協奏曲の他、《4つのロマンティックな小品》、スラヴ舞曲第8番、《わが母の教え給いし歌》といった編曲ものも取り上げることで、作曲者の魅力を多角的に紹介してみせる。

 「ドヴォルザークの管弦楽作品における室内楽的な緻密さ、歌曲や室内楽作品における交響的な広がり。その相互的な繋がりに光をあてることをテーマに選曲しました。10代の頃から人前で演奏し、多くの文献にも触れてきたチェロ協奏曲は、今回の録音が私の現在の総決算。ミヒャエル・ザンデルリンクが指揮する北ドイツ放送響の誠実で柔軟な管弦楽にも大いに助けられました。ロベルト・クーレックと共演した一連の室内楽(編曲もの)は、原曲になるべく近い響きになるよう、すべて原調で演奏してあります」

 この前年にはブリテンの生誕100周年記念盤も発表。ユッカ=ペッカ・サラステが指揮するケルンWDR響とともに、ブリテンのチェロ交響曲と、プロコフィエフの交響的協奏曲を収録した1枚だ。

 「どちらも私の恩師ロストロポーヴィチのために書かれた作品で、レッスンも熱心に授けてくださいました。内向的なブリテンに対し、プロコフィエフはヴィルトゥオーソ的で社交的。先生の性格が、切り取り方次第でこれだけ対照的になるのが面白いと思います」

 今後もフランチェスコ・ピエモンテージ(p)と共演した『プロコフィエフ、ブリテン、ショスタコーヴィチ作品集』の発表が控えるなど、ますますの活躍が楽しみなミュラー=ショット。そうした中、少し長い目で注目していきたい“ある夢”を語ってくれた。

 「2020年にJ.S.バッハの無伴奏チェロ組曲を全曲録音することを考えています。自分が21世紀に歩んだ20年間の集大成的なマイルストーンにできたらと思って」

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