インタビュー

スウェーデンが誇る孤高のシンガー・ソングライター、ホセ・ゴンザレスから届いた深く優しく心躍る新作

簡素な音響フォークのようでいて、仄かに異国情緒を感じさせるパーカッシヴな音。8年ぶりに届いた便りは、どこまでも深く優しく心躍るものだった……

 

 

 スウェーデンが誇る孤高のシンガー・ソングライター、ホセ・ゴンザレスがソロ・アルバムとしては8年ぶりの新作をリリースした。ここ数年は友人たちと結成したジュニップというバンドで活動していたホセ。彼が久しぶりにソロ名義で発表した新曲は、2013年に公開されたベン・スティラー監督・主演映画「LIFE!/ライフ」(原題は「The Secret Life Of Walter Mitty」)の主題歌“Step Out”だ。その経緯について、まずはこんなふうに振り返ってくれた。

【参考動画】ホセ・ゴンザレスの2013年の楽曲"Step Out"

 

 「ベン・スティラーが撮影でアイスランドにいた時、偶然ジュニップを聴いて気に入って、僕のソロも全部聴いてくれたんだ。それで直接連絡をくれた。僕は彼のことが昔から大好きだったから凄く嬉しくてね。ちょうど3枚目のソロ・アルバムを作ろうと思っていたところだったけど、迷わず話を受けることにしたんだよ」。

JOSE GONZALEZ Vestiges & Claws Mute/TRAFFIC(2015)

 その〈作りかけていたアルバム〉が、このたび登場した『Vestiges & Claws』。じっくり1年かけ、初めてセルフ・プロデュースで完成させた本作のレコーディング作業は、ほとんど自宅で行ったそうだ。

 「スタジオでも録ったけど、最終的に自宅で録音したトラックを選んだんだ。レコーディングはマイク1本とラップトップというごくシンプルな機材で、それをキッチンにセットした。大きなテーブルがあるからいろいろ作業できるし、部屋や戸棚の扉を開けるとスタジオみたいな音にもできる。それに気分転換にくつろいだり、ランチに出掛けたりできるところが気に入っているよ」。

 そうしたリラックスした環境のなか、彼は「これまでのソロ・アルバムのように〈1本のギターとヴォーカルを中心に、時にパーカッションを加える〉という作品を思い描きながら」アルバムを仕上げていった。

 「新しい試みにも挑戦したよ。初めてダビングで声やギターを重ねたんだ。ギター1本にこだわっていても仕方がない、ライヴではミュージシャンを増やせばいいと思ってね。リズムもこれまで以上に採り入れた。ツアーを回っていて、ただ静かに演奏するだけじゃなく、より盛り上がるライヴを演りたいと思ったんだ。そこでアルバムにいくつかリズムを強調した曲を入れてみたよ」。

 アコースティックなギター・サウンドと心地良いグルーヴはホセ作品の特徴だが、確かに今回のアルバムではこれまで以上にビートが際立っている。そこには前作『In Our Nature』で垣間見せたアフリカ音楽からの影響もチラホラ。特に“Leaf Off/The Cave”のパーカッション・パートは、本作のなかでもお気に入りのアレンジのひとつだと教えてくれた。

 「この曲のパーカッション・パートは、最初ギターで作っていたんだ。バスドラとスネアっぽい音はもともと僕がギターを叩いて出しているんだけど、ドライで木のようなパーカッションの音が欲しかったから、ハンドクラップやスナップ、木製のシェイカーも入れた。パーカッション・パートのプロデュースは凄く楽しかったよ」。

 こうしたサウンドへのこだわりが、新作をこれまで以上に表情豊かなものとしている。ホセによると、そこにはジュニップでの活動から得た経験がしっかりと反映されているようで……。

 「ジュニップのアルバムはすべて自分たちで制作したから、音作りやレコーディングの面で学ぶことが多かった。だから、今回初めて自分でプロデュースするにあたって何の不安もなかったんだ。仕上がりも凄く気に入っているよ」。

 先頃スタートしたヨーロッパ&北米ツアーは、ひとりで演奏するパートとバンド編成のパートの2部構成になっているらしい。「これまで以上に多彩なステージだから、日本にもぜひ行きたいと思ってる」と意気込みを伝えてくれたホセ。『Vestiges & Claws』はライヴが待ち遠しくなるような、じっくり聴けてダンスもできる最高のアルバムだ。

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