今回の新作について「シュギー・オーティスとサイモン&ガーファンクルの中間に位置するような、シンプルで温かみのあるサウンドをめざした」と公式コメントを残しているホセ。なるほど、さりげなくサイケデリックなこのアーバン・フォーク盤の隠し味は、シュギーからディアンジェロ~ウィークエンドへと繋がるベッドルームR&Bでしたか。〈ボン・イヴェール以降〉と括られる人たちにも似たサウンド・アプローチが見られますが、なかでもホセのような透明感と翳りを求めるなら、アウスゲイルやジェイムズ・ヴィンセント・マクモロウといった北欧勢の作品をオススメしましょう。
【参考動画】アウスゲイルの2014年作『In The Silence』収録曲"King And Cross"
【参考音源】ジェイムズ・ヴィンセント・マクモロウの2014年作『Post Tropical』プレヴュー音源
また、精密な多重録音でコーラス・パートを仕上げていく点は、確かにサイモン&ガーファンクル的だな~と思いつつ、もっと言うと、“Afterglow”などで確認できるアフリカン・リズムの採り入れ方が、ポール・サイモンの『Graceland』(86年)を感じさせたりも。
【参考動画】ポール・サイモンの86年作『Graceland』収録曲“Graceland”
それはさておき、ホセの音楽を語るうえで忘れちゃいけないのがラテン・フレイヴァーですよね。ボサノヴァに造詣が深く、フラメンコ・ギターもマスターしている彼。とはいえ、これみよがしにそれをアピールするのではなく、サラっとメロウに聴かせる流儀は、どこかケニー・ランキンっぽくありませんか?
【参考動画】ケニー・ランキンの67年作『Mind-Dusters』収録曲“Peaceful”
最後に、歌い方。フェミニンと言ったら語弊があるかもしれませんが、ますます柔らかくなった印象で、デビュー当時のジャック・ジョンソンやエリオット・スミスを思い出してしまうのは、きっと私だけじゃないはずです。
【参考動画】ジャック・ジョンソンの2001年作『Brushfire Fairytales』収録曲“Flake”