今回の新作について「シュギー・オーティスとサイモン&ガーファンクルの中間に位置するような、シンプルで温かみのあるサウンドをめざした」と公式コメントを残しているホセ。なるほど、さりげなくサイケデリックなこのアーバン・フォーク盤の隠し味は、シュギーからディアンジェロ~ウィークエンドへと繋がるベッドルームR&Bでしたか。〈ボン・イヴェール以降〉と括られる人たちにも似たサウンド・アプローチが見られますが、なかでもホセのような透明感と翳りを求めるなら、アウスゲイルやジェイムズ・ヴィンセント・マクモロウといった北欧勢の作品をオススメしましょう。
また、精密な多重録音でコーラス・パートを仕上げていく点は、確かにサイモン&ガーファンクル的だな~と思いつつ、もっと言うと、“Afterglow”などで確認できるアフリカン・リズムの採り入れ方が、ポール・サイモンの『Graceland』(86年)を感じさせたりも。
それはさておき、ホセの音楽を語るうえで忘れちゃいけないのがラテン・フレイヴァーですよね。ボサノヴァに造詣が深く、フラメンコ・ギターもマスターしている彼。とはいえ、これみよがしにそれをアピールするのではなく、サラっとメロウに聴かせる流儀は、どこかケニー・ランキンっぽくありませんか?
最後に、歌い方。フェミニンと言ったら語弊があるかもしれませんが、ますます柔らかくなった印象で、デビュー当時のジャック・ジョンソンやエリオット・スミスを思い出してしまうのは、きっと私だけじゃないはずです。