この4月に結成&デビュー2周年を迎えた4人組、DIV(ダイヴ)。わずか2年の活動歴ながら、その密度たるや相当濃い。2012年のファースト・ミニ・アルバム『無題のドキュメント』以来、2~3か月おきにシングル/アルバムをリリースし、もちろんその間は楽曲制作やツアーを行うというハードなスケジュールをこなしていた彼ら。しかしそんな忙しなさに翻弄されることなく、作品ごとに自身のサウンドを開拓し、多くのリスナーを獲得していった。今回リリースされるシングル“漂流彼女”もまた、カップリングの2曲(通常盤のみ収録)も含めてバンドのサウンドをさらに磨き上げたナンバーとなっている。メンバー自身も成長を実感しているというバンドのいまを映した本作について、4人に話を訊いた。

DIV 漂流彼女 DANGER CRUE(2014)

最近は楽曲に対して試行錯誤する余裕がある

――ちょうどデビュー2周年となりましたが、この2年はかなり濃厚な時間だったと思います。振り返ってみていかがですか?

CHISA(ヴォーカル)「4人での曲作りも慣れたというか、誰がどういうアプローチをしてくるかというのをみんなが共有できているので、ストレスなく進められるようになりましたね。なので最近は楽曲に対して多少は試行錯誤する余裕がある」

――作曲クレジットはバンド名義になっていますが、全員が作曲を手掛けているんですね。

CHISA「そうですね、各々デモは常に作っています。クレジットをバンド名義にしているのは、プリプロやアレンジが半分曲作りって感じだから。アレンジにかなり時間をかけているんです。僕らは始動したときからそうなんですが、良い曲が出来たからリリースするというのではなく、先のリリースまで流れを考えているので、どのような順番で曲を出したらハマるかを考えながら作っていますね。一作品出したときにはすでに次の曲が出来ているような状況で進めています」

 

 

――曲作りのうえで心掛けていることは?

CHISA「〈こういう音楽しかやらない〉というのは考えていないです。あと〈こんなテイストの曲にしたいね〉というのがあったら、それをより本格的なものにするようなアレンジを心掛けています。でも一貫して曲として聴きやすいもの、というのは意識していますね。聴きやすいものにするために、演奏やヴォーカルで工夫したり」

――その際、他のアーティストを参照することもあるんでしょうか?

CHISA「しますよ。曲自体もそうだし、もちろん楽器単位で参照することも」

――ところで、皆さんはどういう音楽がお好きなんですか?

ちょび(ベース)「僕はエモばっかり聴いてます。タワレコ新宿店のエモ・コーナーに並んでいるもののセンスがとてもいいので、この間も端から試聴してまとめて買いました(笑)。でも昔のJ-Popも好きなんです。中西保志の“最後の雨”とかiPodに入ってますし(笑)」

 

 

CHISA「僕もいろいろ聴くんですが、好きで聴くのはデジタル寄りですね。結成当初はチップ・チューンにハマってて、最初のミニ・アルバム(『無題のドキュメント』)のSEはチップ・チューンにしましたし。どちらかと言えばインストのほうがいいんです。本をよく読むので、読書しながら歌ものを聴くとその歌に耳が行っちゃう。いま人気のあるものは聴くようにしていて、最近はスクリレックスとかのEDM系とかダブステップをよく聴きます。あとザイレントっていうのがなかでもお気に入りで、ダブステップとドラムンベースが混ざったような感じなんですけど、独特の清涼感がある。あと、昔の曲を聴くにしても、どうしてこの曲は残っているのかを考えながら聴いたりとか」

【参考動画】ザイレントの2012年のシングル“Boss Wave”

 

――時を経ても残る曲の方程式みたいなのは見つかりました?

CHISA「サビよりも出だしにインパクトがあることに気付きました! 歌い出しのほうが有名な曲が多いなと。それこそ山下達郎さんの“クリスマス・イブ”とか」

――なるほど。そういうことをDIVの曲作りでも意識するようになりましたか?

CHISA「そうですね、上手く採り入れられれば残る曲が作れるかなというのは考えますね」

――確かに歌い出しにインパクトのある曲は多いかもしれません……。では将吾さんは?

将吾(ギター)「最近MAN WITH A MISSIONのCDを買いました。聴いているのは邦楽ばっかりで、パンクハードコア系が多いです。最初にバンドをやろうと思ったのは事務所の先輩のL’Arc~en~Cielがきっかけだったんですが、その後Dragon AshRIZEを聴くようになって、そっちの方向に行った感じ」

【参考動画】MAN WITH A MISSIONの2014年作『Tales of Purefly』収録曲“evils fall”

 

satoshi(ドラムス)「僕は趣味ではマルーン5とL’Arc~en~Cielしか聴きません。ハタチからはその2つしか聴いてないんです」

――えっ! そうなんですか!?

satoshi「でも勉強の意味で最近よく聴いてるのは、ラルクのyukihiroさんがやっているgeek sleep sheep。ああいうバンドでyukihiroさんがどういうドラムを叩くのかという興味があって。それから、コーンのドラマー(レイ・ルジアー)が新たに組んだKXMを練習のためによく聴いていますね。あと、ドリーム・シアターのドラマー(マイク・ポートノイ)が組んでいたリキッド・テンション・エクスペリメントもよく聴いていました。このバンドのフレージングはDIVでも使ったり。いまや研究のために音楽を聴くほうが多いです」

【参考動画】リキッド・テンション・エクスペリメントの2008年のライヴ映像

 

――なるほど、そういうことでしたか。L’Arc~en~Cielの名前がお2人から出ましたが、同じく事務所の先輩、シドの“妄想日記”を以前カヴァーされていましたよね。この曲はとてもDIVらしいリアレンジがなされていたと思います。

CHISA「アレンジは自由にやらせてもらいました。Bメロにダブステップを採り入れたりとか。これを聴いてDIVを好きになったという人も多いんですよ」

satoshi「ほんと、DIVらしさが出たよね」

将吾「ギターもエモのフレーズを無理やり入れたりして(笑)」

――将吾さんのギター・ソロはすごく耳に残るものが多い気がします。

将吾「あまり難しいことはやらずに、でもカッコ良くて耳に残るものをテーマにしていつもフレーズを作っています。言い方によっては俺っぽい、悪く言えば毎回同じ的な(笑)」

――でもそれが〈将吾印〉ということでは?

将吾「そうです、そうです」

【参考動画】DIVの2013年のシングル“妄想日記”