GWはやっと横浜にカムバしたタワレコ横浜ビブレ店で大人買いしたりなどして過ごしていましたが、何より3月にリリースされたペトロールズの3曲入りシングル“SIDE BY SIDE”の素晴らしさに打ちのめされております。
冒頭の“FUEL”はこれまでになく開けた印象ですが、ブラック・ミュージックの旨味を還元したポップソングと言いますか、私の大好きなペトロールズの魅力が全開になっていて、これまたスタイリッシュだわ……と脱帽。一方で表題曲はヴィンテージなソウルのフィーリングがふんわり薫る、どこかマイケル・キワヌーカを思い出す温かみがあって素敵だし……。自分の住む日本にいてくれて本当に嬉しいバンドのひとつ、誇りです。
【参考動画】ペトロールズの2012年作『Problems』収録曲“モラル”
そしてこのGW中にふと思い出して、改めて聴いてみて、これはやっぱり凄いかもしれない……としみじみ感じたのがMALICE MIZER。おペトさんからの振り切り方が異常ですが、ご容赦ください。
先日、DIVというDANGER CRUEのバンドのインタヴュー記事をアップしましたが、彼らの“漂流彼女”という曲を聴き、この瑞々しい清涼感……どこかで感じたことがある……なんだなんだ……と思い巡らせていたところ辿り着いたのがMALICE MIZERの“ma chérie ~愛しい君へ~”や“au revoir”“Brise”で、そこからYouTubeでのMALICE MIZERクルーズがスタートしてしまいました。
【参考動画】MALICE MIZERの98年作『merveilles』収録曲“au revoir”
GACKTが在籍していた当時、彼とギターのKözi(猫好き、cali≠gariの石井秀仁を擁するXA-VATでも活動)、いまは亡きドラムスのKamiの3人がパーソナリティーを務めていた深夜のラジオ番組を録音しては、翌日に親友と聴いて爆笑するという行為を毎週行っていた私。そのトークのセンスのみならず、バンドの音楽を含めた特異性自体に激ハマりしていた時期があります。
だいたい96年~98年くらい、2作目『Voyage ~sans retour~』やメジャー・デビュー作『merveilles』あたりでしょうか。もちろんその頃のV系はすでに一大シーンとして認知されていましたが、そのなかでも彼らのコンセプチュアルなゴシック・スタイルは群を抜いて目立つ存在。わりとナチュラル志向にシフトしていくV系バンドもいたなかで、MALICE MIZERのコンセプトの根幹を担い、ゴシック・ロリータの権化でもあったお人形さんのようなMana(ギター、Moi dix Moisとしても活動)を筆頭にそのヴィジュアル・イメージはまったく揺らぐことなく、またパイプ・オルガンやチェンバロの音色を多用したクラシカルでシンフォニックな音楽性がみるみる強化されていった時期。
GACKTの前任ヴォーカリストが在籍していた初作『memoire』も、ストリングスなどを交えつつもバンド・サウンドをメインにしたロック作品でしたが、GACKTに替わってからの2作目以降はむしろロックでもなければバンド・サウンドでもないものも増えていきました。よって、MALICE MIZERといえば……な“月下の夜想曲”などをライヴで演る際、前の3人(GACKTとMana様とKözi)はクルクルクルクル舞っていたものです。
【参考動画】MALICE MIZERの98年作『merveilles』収録曲“月下の夜想曲” ライヴ映像
またこの“月下の夜想曲”も収録されている『merveilles』には、その後お馴染みになるエレクトロニクスとシンフォニック調を組み合わせたスタイルを確立した“ILLUMINATI”がシングル・カットされています。これも当時は何てことなく聴いていましたが、振り返ってみれば途轍もない……。
【参考動画】MALICE MIZERの98年作『merveilles』収録曲“ILLUMINATI”
99年にGACKTが脱退、続いてKamiの急逝という不幸に見舞われた後の2000年作『薔薇の聖堂』は、新ヴォーカリストにKlahaを迎え、そのゴシック・サウンドがさらに重厚で本格的なものに。曲も長尺のものが多くを占め、完全にそれまでのバンドのフォーマットから逸脱したものになりました。個人的なMALICE MIZERの理想像はともかく、このアルバムでMALICE MIZERが極まったなというのを感じさせる、その当時の私には到底ついて行けないところへ行ってしまった……au revoir……だったのです。しかしいま改めて聴いても本当に圧巻。ついにここまで来たか感が漲っている作品の完成度! こんなグループは後にも先にも……という凄みを噛み締めた次第です。
【参考動画】MALICE MIZERの2000年作『薔薇の聖堂』収録曲“真夜中に交わした約束”
それにしてもMALICE MIZERにGACKTはハマりすぎていました。よくぞこんなヴォーカリストを見つけてきたな、という奇跡的かつ必然的な運命。個人的には、荘厳系の楽曲も良いですが“ma chérie 〜愛しい君へ〜”や“Madrigal”あたりのロマンティックで可愛らしいナンバーがお気に入りですね。
【参考動画】MALICE MIZERの96年のシングル“ma chérie ~愛しい君へ~” ライヴ映像
【参考動画】MALICE MIZERの96年作『Voyage 〜sans retour〜』収録曲“Madrigal” ライヴ映像
なんてラヴリーなんでしょう……。
青春の一ページ。