ノビノビと成長を続ける、あの娘は〈悩める現代ガール〉!? 誰もが日常のなかで覚える感情や経験を、ポップに切り取ったニューEP!
2012年にtofubeats“水星”のMVとそのリミックスへの参加で注目を集め、現在は大阪から上京してPUMP!に所属。Faint★StarやORLANDに歌詞を提供するなど、活躍の幅を広げているシンガーの仮谷せいら。上京後の新生活を歌ったデビューEP『Nobi Nobi No Style』を経ての新作『Nayameru Gendai Girl』は、そうした活動のなかで得た自信も反映させ、いまの彼女の魅力を詰め込んだ作品になった。作曲/編曲でサポートするのは、前作にも参加したDAIKIやKOMODAに加え、orange spotting、田中秀典など。表題曲はシュープリームスやロネッツといった往年のガール・ポップを現代風にアップデートしたようなサウンドに乗せ、〈悩める現代ガール〉の辛い現実をカラッと吹き飛ばすメッセージ・ソングだ。
「私はいま22歳で、大学生で言うと4回生、短大卒だと社会人2年目の方が多いですよね。そんな同世代の女の子たちについての歌詞を書けたらと思ったんです。でも私は上司に〈嫌だな〉と思わないタイプで(笑)。だから友達に〈どんなことが嫌なの?〉って訊いたり」。
加えて、“Hopper”や“ニコイチ”では彼女としては珍しく恋愛が題材に。さらにディスコっぽいアレンジの“わたしだらけ”は、「ドラえもん」の人気エピソード〈ドラえもんだらけ〉から着想を得た歌詞が印象的だ。さまざまな時間軸のドラえもんがタイムマシーンに乗って同じ場所に集まるストーリーと同様に、〈昨日のわたし〉や〈5時間後のわたし〉が登場する内容はユニークで、まさに彼女の新境地。そうして紡がれた本作は、前作に比べてテーマの幅が格段に増し、それがすべて彼女らしさに繋がっていくような構成で、普通の日々を目いっぱいに楽しむ彼女の魅力がより伝わるものになっている。
「〈普通であること〉がいちばん私らしいかなって思うんです。そういえばTwitterでリリースやライヴの告知をするんですけど、それよりもモノマネをしたり遊んでる動画のほうがリツイートされたりして(笑)」。
上京前には「音楽はもういいかな」と諦めかけた時期もあったという彼女。この最新EPは、徐々にアーティストとして意識が変化していくなかでも変わらない、音楽や人々への真っ直ぐな気持ちが反映された作品と言えるのかもしれない。
「前作は自分の半径5メートルの出来事がテーマで、本当に身近なことについて書きました。でも、だんだん自分を客観視したり、自分以外のことを書くようになって。あと、昔は歌っていても〈申し訳ないな〉っていう感情がどこかにあったんです。それがEPを出してライヴをしたり、曲を制作していくなかで〈やるしかない〉って気持ちになって。歌うことも以前よりどんどん楽しくなってきているんです」