SiM vs Crossfaithのドリーム・マッチが実現! 勝つのはどっちだ!?

 片や、レゲエ~パンクを軸にニュー・メタルハードコアスクリーモなど多彩なジャンルを呑み込んで極限進化を果たし、ついには2015年に日本武道館公演まで成功させたラウド・ロック界の変異体、SiM。片や、44か国に及ぶワールド・ツアーやフェス参戦を経て、日本のみならず世界のメタルコアの〈いま〉を牽引する存在へと成長を遂げた精鋭、Crossfaith。その2組がタッグを組んだら果たしてどうなるか?――という我々の夢想の遥か頭上を超音速でかっ飛んでいくような、凄絶なコラボレーションが実現した。タワーレコードとレッドブル・スタジオ東京が新たに設立したレーベル=Double Wingの第1弾音源としてリリースされた、〈SiM vs Crossfaith〉名義のファースト・シングル“GET iT OUT”がそれだ。

SiM vs Crossfaith GET iT OUT Double Wing(2016)

 全3曲を収録した本シングルには、SiMの最新アルバム『THE BEAUTiFUL PEOPLE』からラウド戯曲的な“Dance In The Dark”と、Crossfaithの2015年作『XENO』以降初の新曲となるエクストリームなナンバー“Revolution”が収められている。が、本作が〈スプリット・シングル〉とは異なる〈コラボ・シングル〉である理由は、その表題曲“GET iT OUT”にこそある。すでに〈究極の三次元モーター・スポーツ〉とされる飛行機レース〈Red Bull Air Race Chiba 2016〉のテーマ・ソングとしてCMなどでもオンエアされているこの“GET iT OUT”は、なんとSiMとCrossfaithのメンバー計9人の総力戦によって生まれた楽曲だからだ。

 狂騒感に満ちたビート、全身震撼級のヘヴィーなアンサンブル、鮮烈なエレクトロ・サウンド、といった両バンドのサウンドのエッセンスが渾然一体となって、単なる足し算を越えたまったく新しい音のフォーメーションを構成し、全員エース・ストライカー状態のラウド&カオスな猛攻撃を仕掛けてくる図はまさに圧巻。そして、9人が轟音の渦の中で壮大なスケール感を体現しながら、サビでシンガロング必至のアンセミックなメロディーを撃ち放ってくる頃には、この音に触れた瞬間の驚きと衝撃はあっさり怒濤の感激に取って代わられているはずだ。

 ラウド・シーン屈指の表現力を確立し、独自のスタンスと揺るぎないファン・ベースを築いているSiMとCrossfaith。だが、ラウド・ロックの頂上決戦的な今回のコラボから伝わるのは、さらなる高みをめざして切磋琢磨する2組の、抑え難く沸き立つ闘争心だ。“GET iT OUT”の問答無用の爆発力とともに、その情熱を真っ向から受け止めてほしい。