熱くなると歯止めがきかない感情剥き出しの力唱にまたも圧倒される3年ぶりのアルバムは、ロン・フェアを総指揮に迎えて複数のクリエイターと組んだ意欲作。ブライアン・ケネディ制作の先行曲“No Time For It”は前作の“Lose To Win”をアップデートしたようなR&Bだが、パーカッシヴに疾走する“Crazy”やアロー・ブラックが絡む“Roller Coasters”、ブルージーなギターが唸る“Lonely Legend”など、随所に感じ取れるのは彼女が標榜する〈ロック・ソウル〉な感触だ。が、JBのバラードを思わせるR・ケリー制作の“Sleeping With The One I Love”でも安易なヴィンテージ風には陥らず、ステイシー・バースとの“Stay Up”やUKの気鋭グレイズによる“Wait For You”ではフューチャー・ポップな感覚で半歩先を行く。一方で、ロン・フェアの折り目正しいソウル・センスが滲むバラード“When I Met You”やタイ・トリベットを迎えて原点のゴスペルに着地する賑やかで壮大な“I Made It”もあり、懐の深さに感心するしかない。