KIDS NEVER DIE 2016
[特集]いままたポップ・パンクが盛り上がっている理由
自由と輝きを取り戻した男たちの完全復活宣言! 僕たちにはどんな存在意義があるんだ?
おかえり、グッド・シャーロット! 6年ぶりのニュー・アルバム『Youth Authority』を繰り返し聴きながら、僕は興奮が収まらない状態だ。というのも、2000年代のポップ・パンク・ブームをリードしてきた彼らは、テン年代に入ってすぐ、5作目『Cardiology』を残して無期限の活動休止に突入。ファンの間では〈このまま解散するのでは!?〉との声も多く上がっていたのだから。
「マネージメントやレコード会社に間違った方向へ向かわされていたんだ。前作の制作を始めた際、最初のプロデューサーは気持ちの入っていない状態だったから辞めてもらって、作ったモノもすべてボツにした。次に依頼したドン・ギルモアはちゃんとしていたけど、すでに俺らは諦めかけていたんだよ。そのアルバムのツアー中に、〈俺たちは何をやっているんだろう?〉〈俺たちにはどんな存在意義があるんだ?〉とメンバー同士で話し合った。で、〈すべてを停止するのはどうかな?〉っていう兄貴(ベンジー・マッデン、ギター)の意見に、みんなが賛成したんだ」(ジョエル・マッデン、ヴォーカル:以下同)。
それからの約6年間、音楽業界に対する不信感から、ジョエルとベンジーはもともと運営していたアパレル・ブランドを発展させるかたちで、レーベル兼プロダクション兼マネージメント会社のMDDNを設立。スリーピング・ウィズ・サイレンスやジェシーJと契約を交わしている。同時に2人はマッデン・ブラザーズ名義で楽曲制作を開始し、裏方としてもエンブレム3やウォーターパークス、オール・タイム・ロウらの作品に関与。とりわけファイヴ・セカンズ・オブ・サマーとの仕事が、マッデン兄弟に大きな刺激を与えたのだとか。
「ファイヴ・セカンズ・オブ・サマーは凄いよ。最高のライヴ・バンドで、音も凄くタイトだ。ドラマーは久々に見る若い才能だと思う。そんな彼らが〈グッド・シャーロットの新しいアルバムをまた聴きたい! ファンなんです!〉と言ってくれた。スリーピング・ウィズ・サイレンスもそうだけど、俺らの好きな若いバンドがグッド・シャーロットを好意的に見てくれていたから、復活のアイデアが浮上したんだと思う」。
果たして、めでたくバンドは再会。リユニオン後初となる今回のアルバムは、偶然にも結成20周年の節目をみずから祝うかの如きタイミングで世に放たれた。リリース元はもちろんMDDN。共同プロデューサーとして指名したのは、初期2作を手掛けたジョン・フェルドマンだ。
「俺らにとって今作は、言わば〈自立したアーティスト〉としての新時代の始まりなんだ。〈自由を手に入れたぞ!〉と思えるし、歯を喰いしばりながら戦った結果でもある。だから、このアルバムは振り返りでもあるんだけど、同時に未来へ向けたものでもあるんだ」。