グッド・シャーロットがユースのオーソリティーになるまで
双子のベンジー&ジョエル・マッデンが中心となり、96年にメリーランドで産声を上げたグッド・シャーロット(以下GC)は、その後、LAに拠点を移し、2000年のファースト・アルバム『Good Charlotte』でいきなりのメジャー入り。ビースティ・ボーイズのライヴに感激してバンドを結成したというエピソードも頷けるラップ曲ほか、実は幅広い音楽性を披露し、(セールス的には振るわなかったものの)シーンに大きな爪痕を残す。
そして、いちばんの武器であるシンガロング・パートを増強しながら、直球のパンク・サウンドで迫った2002年作『The Young And The Hopeless』にて見事ブレイク。キッズの心を鼓舞するポジティヴな歌詞が支持され、GCはグリーン・デイやブリンク182に続くニュー・ヒーローと目されるようになった。この2作目は世界中で500万枚以上のヒットを記録し、2003年には初の来日公演も実現。上昇気流に乗る彼らは続けざまにファッション・ブランドなどの経営を始め、メインストリームのド真ん中でパンクのDIY精神を実践していくのである。
以降もバンドは立ち止まることなく、ゴスに接近してダークでシリアスな面も覗かせた3作目『The Chronicles Of Life And Death』(2004年)、ディスコやダブの要素を採り入れた4作目『Good Morning Revival』(2007年)、その路線をさらに突き進んだ5作目『Cardiology』(2010年)……と、次々にイメージを刷新。自分たちを見つめ直すために活動を休止してからも、ベンジーとジョエルはマッデン・ブラザーズ名義でフォーク味たっぷりのウェストコースト・ロックにトライしてきた。そんななか、結成20周年を迎える今年、6年ぶりの『Youth Authority』を引っ提げて最前線へ帰還したGC。原点回帰を謳ったこのアルバムをきっかけに、新しい時代がいま幕を開けようとしている。 *山口智男