本著はジャズからロックまで幅広い評論で知られる相倉久人氏と音楽評論家の松村洋氏が2012年から2014年にかけて、10回にわたって対談した内容をまとめたものでその主題は〈昭和歌謡〉。エノケン、服部良一から、美空ひばり、坂本九、クレイジー・キャッツ、そして山口百恵、松田聖子、さらにシャ乱Q、クレイジー・ケン・バンド、菊地成孔まで平成の時代へと続く、長く曲がりくねった音楽道を、相倉氏が時にリアルな視点で、時に実際に取材した時のエピソードなどを交えて語った興味深い一冊。昭和という激動する時代の中でいかに歌謡曲は日本のオリジナリティとしてありえたかを知る。