Mikikiが週末まで待てないあなたに自信を持ってお届けする平日イヴェント、その名も〈ミキキの平日〉が12月7日(週の真ん中、水曜日!)に開催される。日頃からさまざまな音を浴び続けているMikiki編集部が〈いま、ここを組み合わせたらおもしろいんじゃないか?〉という目線でセレクトした2組が出演するこのイヴェントの記念すべき第1回に、LUCKY TAPESSugar's Campaignの出演が決定した。

Mikikiでは連載〈NEW URBANe POP〉などを通じて、2010年代の日本における新たなポップスの担い手たちを紹介しているが、この両者はまさにその中心に位置する2組。共にモータウンから現在進行形のディスコ/ファンク・リヴァイヴァルまでをフラットに吸収し、職人的な手腕で洗練された楽曲を生み出している。さらに、〈大人〉がテーマの『Cigarettes & Alcohol』と、〈家族〉がテーマの『ママゴト』という、それぞれが今年リリースした新作の内容もどこかリンクしているような印象を受けるだろう。そして、何よりこの2組の共通点と言えば、〈ライヴ〉というよりも〈ショウ〉という言葉が似合う、エンターテインメント精神溢れるステージングなのだ。そこで、今回は〈ミキキの平日〉への誘いとして、今年行われた2組それぞれのワンマン・ライヴを観ている筆者が、その見どころを紹介していこう。

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LUCKY TAPES
10人編成の華やかな大所帯で、ムーディーな夜を演出

まずはつい先日の11月23日に、東京・渋谷WWW Xで行われたLUCKY TAPESのツアー・ファイナル。編成はヴォーカル/キーボードの高橋海、ベースの田口恵人、ギターの高橋健介というメンバー3人に加え、ドラマーにShe Her Her Hersから松浦大樹、さらにはホーン隊の3人に、コーラス、ヴァイオリン、パーカッションも加わった総勢10名。田口と松浦のファンキーなリズム・セクションを土台としたステージは実に華やかで、曲によってホーン隊がダンスを披露したり、コーラスの大比良瑞希はギターもプレイしたりと、視覚的にも非常に楽しく、海外インディーの大所帯バンド的な雰囲気も。今年は〈フジロック〉など多数のフェスに出演してきた彼ら、かつては線の細さが感じられた高橋海のヴォーカルがすっかり逞しさを増していたことからも、この1年での成長が確かに感じられた。

演出面で特に印象に残ったのはライヴ終盤で、まずはオーディエンスにスマホのライトを点灯させるように呼びかけると、まばゆい光に包まれたなかで“MOON”を演奏。そして、高橋海、高橋健介、松浦以外のメンバーが一度ステージを降り、3人がインストを演奏していると、何とフロア後方から残りのメンバーがマーチング・バンドのような形で行進を開始する。オーディエンスを巻き込みつつ、ふたたびステージに戻ると、その流れのまま“スローモーション”を披露。ラストの“TONIGHT!”では、その歌詞の通り、誰もが〈このムードに酔っていたい〉と思ったであろう、素敵な一夜だった。

今年9月の東京キネマ倶楽部でのワンマン公演の映像をフィーチャーした、LUCKY TAPES“贅沢な罠”

 

 

Sugar's Campaign
とにかく楽しい演奏&MC、微笑ましくも切ない世界観

一方、代官山UNITを舞台にSugar's Campaignのリリース・パーティーが行われたのは、まだ暑さの残る8月26日。ステージにはドラムやサンプリング・パッドなどを担当するAvec Avec、シンセだけではなく、ギターもプレイするSeihoに加え、ベースの小川リョウスケとギターのKASHIFが並び、冨田ラボによる話題のニュー・アルバム『SUPERFINE』にも参加しているakioをはじめ、IZUMIAkita Momo井上苑子という3人の女性ヴォーカルが曲ごとに入れ代わり立ち代わり登場するという、こちらも非常に華やかなステージ。音源では打ち込み主体のSugar's Campaignの楽曲を生演奏で聴けるということがまず新鮮で、Avec AvecとSeihoはスキル度外視でやたらと楽しそうに演奏するので、観ている側もついつい笑顔になってしまう。また、何と言っても、この2人はMCが抜群におもしろいので、それも目当てに観に行くのも全然アリだと思う。

また、この日はさらに特別な演出が施されていて、アルバムの〈家族〉というテーマに倣い、ステージの両脇に夫婦と子供のマネキンが置かれ、ナレーションによる寸劇のストーリーとバンドの演奏を交互に展開。子供が生まれたばかりの若い夫婦が時に悩みながらも力を合わせてその子を育て、やがてはその子どもが成長して母親になり、そして、別れの時がやってくる……。Sugar's Campaignの2人はよくインタヴューで〈まだ名前の付いていない、でも誰しもがわかる感情を音楽にしたい〉という趣旨のことを語っているが、微笑ましくも切ないストーリーと、色とりどりの楽曲が折り重なって、ラストに“ネトカノ”で大団円を迎える頃には、まんまと味わったことのない感情へと導かれていくのだった。

Sugar's Campaignの2014年のライヴ映像

 

ここで紹介した演出はあくまで彼らのワンマン公演での演出なので、12月7日が同じ内容になるのかどうかはわからない。しかし、両者のステージは〈ライヴ〉というより〈ショウ〉という言葉が似合うと書いた理由は、きっと伝わったのではないだろうか。そう、LUCKY TAPESもSugar's Campaignも〈小器用なポップス職人〉の範疇に収まる気はさらさらなく、あくまで開かれた姿勢で、たくさんのオーディエンスと同じ空間をシェアすることを望んでいるはずだ。気になった方はぜひ、当日六本木VARIT.に足を運んでいただきたい。

 

ミキキの平日
【日時/会場】2016年12月7日(水) 東京・六本木VARIT.
【開場/開演】19:30/20:00
【出演】LUCKY TAPES/Sugar's Campaign
【料金】前売 3,000円/当日 3,500円(共に+1ドリンク別、入場は整理番号順)
【チケット】10月22日(土)~ チケットぴあ(Pコード:314-093)
【問い合わせ】六本木VARIT. 03-6441-0825

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