ワイリー主宰のアヴァランチから出した『Money Over Everyone』(2009年)あたりから注目の輪を広げ、シーンの顔役としての存在感を強固にしてきたサウス・ロンドン出身のMC、Pマネー。近年はKSIのビッグ・チューン“Lamborghini”(2015年)などの客演にも爪痕を残しつつ自主リリースを重ねてきた彼が、絶好のタイミングで初のオリジナル・アルバムを投下……というか、これまでの名品はミックステープ扱いだったのか。JMEとワイリーを迎えたスケプタ制作のリード曲“Gunfingers”からして降参必至の発砲ぶりで、信頼のリンス発というお膳立てもあって、馴染みのヘヴィートラッカーズやスプラージボーイズ、敏腕サー・スパイロ、重鎮ジョーカーやテラー・デンジャーらが気合いのビートを寄せた全体の総合点は凄まじい。ディーコ製の痺れるデジタル系“Panasonic”やチェイス&ステイタスのダークな“Fake Fans”なども良いアクセントに。メインストリームへの浮上も目立ったグライム好景気の年をクソ鮮やかにシメる傑作!