インタビュー

文化に向かい風吹く時代、水曜日のカンパネラの役割とは? J-Popとしての境界線上で変化肯定する新作『SUPERMAN』を語る

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水カンとケンモチヒデフミの音世界

 水曜日のカンパネラにおいてサウンド面をコントロールするケンモチヒデフミは、もともと2000年代半ばから素晴らしいソロ作を残してきたトラックメイカーである。それらがいわゆるアブストラクト系やジャジー&メロウ流れのヒップホップからLAビーツ、テクノ~ハウスに跨がる作風だったことを思えば、新奇なサウンド・スタイルへの目配せも、そこから生じるある種の不毛さ(?)も彼は十分に心得ているのだろう。初の全国流通盤にして方向転換の見られたEP『トライアスロン』(2015年)でOBKRオオルタイチにプロデュースを譲った後、サウンドの引き出しを増やしつつポピュラリティーも意識した彼の音作りは、出世作『ジパング』(2015年)で一つの極みに到達。その後のメジャー・デビュー作『UMA』(2016年)で起用したマシューデヴィッドミッドクラブ・シェヴァル)、ブラント・ブラウアー・フリックといった海外の才能も、ケンモチが歩んできた道程と音の振り幅に照らせば突飛な人選ではないように思える。

『ジパング』収録曲“ラー”
 

 そうやって水カンが躍進する一方、ケンモチは外部での楽曲制作もマイペースに継続中だ。昨年だけでも、TVドラマ「ナイトヒーロー NAOTO」の劇伴に提供した“モーニングシャワー”やSALUのトライバルな“Lily”にて往時を思わせる美麗なループを展開し、トラッピンな変拍子を仕立てたモン吉の“なると”、緩急に富んだiriの“フェイバリット女子”で手腕を発揮。リミキサーとしてはYeYeの“パレード(ケンモチヒデフミ リミックス)”やリバーシブル吉岡の“CKB -ニコタマミッドナイトRemix-”を残している。なお、コムアイが起用された冨田ラボ“冨田魚店”(作詞はケンモチ)の大きな実りもお忘れなく。