デンジャー・マウスのプロデュースでも話題を呼んだデビュー盤から5年。本人たちいわく〈内省の期間〉を経て登場したこの2作目は、地元LAのハイムに加え、ジョアンナ・ニューサムやジャスティン・ヤング(ヴァクシーンズ)も駆け付けた、またしても要注目の一枚に。ノーザン・ソウル/ファンクをインディー・マナーで解釈したような前作のアプローチも残しつつ、ここで鍵を握るのはニューウェイヴィーな薫り漂うレゲエ曲“Oh Devil”や、どことなくアフリカ的なビートが心地良いアンビエント・ポップ“See The Light”など、トロピカルな味付けだ。もっとも、どんなにラガなフロウを試そうとも、ファルセットを交えた頼りなさげな歌声が南国モードと完全にフィットすることはなく、その虚無的な雰囲気がイマっぽい。また、今回は曲作りから録音までを自分たちだけで行ったようで、手作り感溢れるプロダクションもイイ湯加減。不完全だからこその魅力に心奪われる。