タイトルが示すようにアメリカのティーンで、国境の街として有名なテキサス州エルパソから登場したこの若きシンガー/ソングライターは、本デビュー作でUKなど本国以外のクリエイターとも組んでさまざまな壁を軽々と跨いでみせる。音数を抑えたトラックに溢れ出る恋心を綴ったシック・センス制作の先行曲“Location”からも伝わってくるように、ドレイク以降のアンビエントな感覚は標準装備の世代。新鋭のヒコ・モモジが手掛けた表題曲のように、エレクトロニックとオーガニックな質感が共存し、ポップだがダウナーでもある雰囲気も実にイマっぽい。朴訥としながら哀感のこもる歌声はマリ・ミュージックとサンファの中間をいくようで、時にワイクリフ・ジョンを思わせるカリブ風情も漂わせながら越境。ロードの右腕として名を上げたジョエル・リトルの制作で18歳の心情を歌った“8Teen”やポップなダンサー“Hopeless”など、ダブステップもブギーも呑み込んで自由に泳ぎ回る清々しさに微笑むしかない快作だ