クリス・シーリーばかりが取りざたされている昨今、そのクリス率いるパンチ・ブラザーズのもうひとりの顔役と言えるのがこのバンジョー奏者ノーム・ピケルニーだ。ブルーグラスの枠の中でその音楽や自身の持つ楽器バンジョーの可能性を追求し続けている彼はクリスと方向性は違えど同様に先鋭的でありその才能によってクリスの方向性を決定づけた男でもある。パンチ・ブラザーズ以前から活躍し数枚のソロ作を出している彼の新作は初めてヴォーカルもとった完全なる独奏作。超絶技巧を次々と繰り出しながらもその瑞々しさは絶えず途切れず温もりに包まれた衝撃を聴き手に届ける。素朴な歌声も心地いい。