中村とうよう氏の突然の訃報から6年。後に関連書籍がいくつも出版されたが、これが恐らく決定版。「とうようさん」の同志的存在として、ともにワールドミュージックシーンを支えてきた著者による585ページからなる大作。生い立ちから始まり豊富な資料や「とうようさん」の言葉の引用を巧みに織り交ぜ、文字通り一気に読破させる。それは勿論著者の心血注いだ結晶でもあるが、何より「中村とうよう」という評論家、編集者、そして音楽に一生を捧げた一人の音楽好き、その数奇な人生=音楽批評の辿ってきた歴史そのものが読み物として面白すぎることに他ならない。これ、全ての音楽好き必読書です。