写真提供:ブルーノート東京 撮影:佐藤 拓央

新作は、信頼厚いメンバーとの“ジャズ・イン・マルシアック2016”のライヴを収録!

 5月末に来日公演を行ない、現代のジャズ界を代表するディーヴァとしての実力と貫禄をオーディエンスに示したダイアン・リーヴス。彼女の新作『ライト・アップ・ザ・ナイト』はライヴ・アルバム。2016年8月9日、フランスの“ジャズ・イン・マルシアック2016”において、今回の来日メンバーにハーモニカ奏者のグレゴア・マレを加えた5人編成のバンドとともに繰り広げられたパフォーマンスが収録されている。

DIANNE REEVES Light Up The Night ユニバーサル(2017)

 「このジャズ・フェスティヴァルにはこれまでに何回か出演したことがあって、そのつど質の高いパフォーマンスをしてきたという自覚があった。だから今回はライヴ録音しよう、と。それも現在のバンドのことを信頼していたので、あとから編集したり、オーヴァーダビングはしないと最初から決めていた」

 新作は全8曲入り。これまでのスタジオ録音作で発表されてきた3曲やグレゴアの『Wanted』(16年)に収録されている《ヘヴンズ》に加えて、未録音の曲も含まれている。取材前に音源を聴くことはできなかったので、これはあとから知ったことだが、先の来日公演で披露されたパット・メセニーの《ミヌアノ》やマイルス・デイヴィスの《オール・ブルース》は、16年8月9日の時点ですでにライヴにおける重要なレパートリーだったことが分かる。

 「私たちは、“ジャズ・イン・マルシアック2016”の2週間ほど前から新しいツアーを始めて、その間に《ミヌアノ》や《オール・ブルース》といった新しいレパートリーを色んなアレンジで試した。だからこれらの曲は、去年の8月9日の時点では自分たちにとって新鮮なレパートリーでありつつ、アレンジはある程度練り上げられていたので、かなり良いライヴ・パフォーマンスだと自負している。《ミヌアノ》を取り上げたのは、私は昔から作曲家としてのパット・メセニーのファンだったから。たとえ歌詞が付いていない曲であっても、インプロヴィゼーションによるスキャットで歌えばいいわけだから、それで特に好きな《ミヌアノ》を取り上げたわけだけど、この曲はとてもスリリングなので自分で歌ってて、とても楽しい」

 新作には、前記したジャズ系の曲以外にも、マリ・ミュージックの《ビューティフル》や前作の収録曲であるフリートウッド・マックの《ドリームス》といった曲が収録されており、選曲は幅広い。

 「私は普段から主にインターネットを通じて色んなジャンルの新曲に接していて、気に入った曲のリストを作っている。ええ、良い曲を“発見”しようと務めている。良い曲の発見は、自分の曲作りに好影響をもたらすので、とても重要なことだと思っているの」