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純にして新! 注目の女性ラティーナ4人組

 こんなバンドがNYに行ったら実際いるんかと思ったら衝撃走りました。1曲目からエネルギーというか元気というか音と一緒に放射されてきて景色が変わります。哀愁のカントリ&ウエスタン調ではじまり1950~60年代を想わせるラテン・チューンが次々繰り広げられ、しかもなんと言ったらいいか最新のヴィンテージみたいな、その感触が不思議で耳が離せません。

FLOR DE TOLOACHE Las Caras Lindas Chulo/BARRIO GOLD(2017)

 本作の主人公はメキシコの媚薬に使われる花、トロアチェをバンド名に拝借した女性ラティーナ4名から成るマリアッチ・バンド。ダン・オーバック(ブラック・キーズ)率いるジ・アークスのアルバムやチカーノ・バットマン最新作への参加ですでに注目しているリスナーも多いはず。

 マリアッチとはギターやヴァイオリン、トランペットを中心にした編成でメキシコの伝統的音楽を演奏するバンド。麦わらマントにヒゲのおじさんたちが熱演熱唱するあれだ。知らなかったがここ数年メキシコはマリアッチの養成学校を設立する等国をあげて後世の育成に力を入れているそうで、おそらくトロアチェの結成理由もそういった流れにあるのだろう。しかし聴けば聴くほど彼女たちはユニークだ。

 レパートリーはメキシコ伝統曲に絞らずサルサやボレロ、メキシカン・ポップスからプエルトリコのMCヴェルクロと打楽器レジェンド、ペドロ・マルティネスが参加したものまで様々。と書くと非ラテン好きはお断りかと思うかもだがそんなことは無くむしろ今まで興味なかったから聴いてみよと思わせる魅力/魔力がまさにトロアチェ。見えないところでアンダーソン・パークやハイエイタス・カイヨーテ、ヒップホップやネオソウルといった多様なバックグラウンドがグツグツ煮込まれ伝統への敬意と音楽愛で精製された純にして新なラテン音楽という未開の地へのいっぱいに開かれた扉となっている。まぁとにかく心底音楽っていいなと感動しています。