夏代孝明 エンドロール AndRec(2018)

ネットシーンから火が付いたシンガー・ソングライターが2作同時に配信曲をリリース。まずは、アコギのアルペジオが効いたサウンドに、爆発力と疾走感の伴ったサビが印象的な“ジャガーノート”。〈ジャガーノート=圧倒的な力〉とは一体何のことだろう?と考えさせられたが、〈音楽に対する強い想い〉が込められた楽曲だと聞けば納得。歌い手が歌えば、たとえ知らない人にでもその声は届く。そんな強い力を歌った決意の歌なのであろう。

一方の“エンドロール”は、自身の毎日を〈クソ映画〉に喩え、そのエンドロールを自分自身が眺めて薄ら笑うという重たいテーマの楽曲。この世界観には恐ろしさを超えて清々しさすら感じるものがあるが、サウンド面ではオシャレなコードや変則的な展開が耳を引き、特に2度のサビで盛り上げておいての転調は、まるで自棄になった自分がふと冷静さを取り戻すかのようで◎。もちろんそこから三たび熱くなっていくわけで、ネガティヴになった時にピッタリの楽曲だ。テーマは陰陽両極端でも、とにかくアツい2曲。どちらもMVと配信ではアレンジが異なるようなので、気になる人は両方のチェックを。